五つの魂を持つ女

解説

グロリア・スワンソン嬢のユナイテッド・アーチスツ社スターとしての第一回作品でチャールズ・ガーノン氏、マックス・マーシン氏合作の舞台劇「青春の眼」を映画化したもの。これをアール・ブラウン氏が脚色し「海賊(1926)」「シャーロック・ホームズ(1922)」等と同じくアルバート・パーカー氏が監督した。スワンソン嬢の相手役はミュージカル・コメディーの舞台から招かれてジョン・ポールズ氏が勤め、米国映画初出演の英国俳優ヒユウ・ミラー氏、「燃ゆる唇」出演のアイアン・キース氏、ポーリン・ギャロン嬢、アンダース・ランドルフ氏のほか、アンドレス・デ・セグローラ氏、レイモンド・ハッケット氏、フロベル・フェアバンクス嬢等の新顔が出演している。尚「機械舞踊」の作者ダドリー・マーフィー氏が撮影技術方面の顧問を勤めていることは注目に値する。因みにこの映画の原作はクララ・キンボール・ヤング嬢が出演し、「若き人の眼」として映画化されたものである。

1927年製作/アメリカ
原題:The Love of Sunya

ストーリー

神秘な東洋の若き一ヨーギ僧は数百年の昔に己が前身が罪を犯したことを知るや贖罪のために行脚に出たがニューヨークに近いヴァンフィールドに住むサンヤという処女とポール・ジャドソンというその恋人とが彼の前世の罪過の犠牲者であったことを知り2人に幸福を与えて己が罪を償わんとした。南米で大橋梁を架設せんとするポールに従ってサンヤや南米に行こうとしたがその時彼女の父は破産に瀕していた。そして富豪ゴーリングに娘を嫁入らせようと決心した父はポールに娘と会うことを禁じた。サンヤの美声を知ったデ・サルヴォという座元は彼女を歌劇女優に仕立てるからパリへ行かないかと勧めた。また彼女を恋しているアントニイという若い銀行員は故郷に止まって女教師となって家計を支えてくれれば自分の昇給次第に結婚しようとサンヤに嘆願した。サンヤは義務と大望と、富と愛と、その何れを選ぶべきかに迷った。その時彼のヨーギ僧は義務と大望と富貴とが彼女にもたらすべき未来を水晶玉の中に見よと告げた。サンヤは玉を凝視すると--彼女の家は競売に付せられ彼女は女教師となること、ポールは架橋工事中危禍に逢って死ぬこと、彼女の結婚者アントニイは彼女を捨てて彼女の妹リタと結婚することが義務の道の未来であった。次に、玉の中の彼女はパリのプリマドンナになってデ・サルヴオの妻となっていた。彼女には山のような借金があり飲酒のために人気が落ち解雇された。彼女の楽屋を訪れたポールはデ・サルヴオと会ったが、サンヤの弟ケネスは姉を堕落させたと怒ってデ・サルヴオを狙撃した。そしてサンヤが止めようとしたため手元が狂ってポールが射殺された。それが彼女の大望の結果だった。そして富は何を彼女に与えるか--富豪の妻としてあらゆる贅沢をした。夫はアンナという女を愛しサンヤを辱かしめて離婚した。歌を歌って自活するサンヤは貧乏に喘いだ。そして街上で逢ったポールは彼女をサンヤと認めなかった。サンヤは路傍に行き倒れた。未来は斯くの如くであった。サンヤはゴーリング、アントニイ、デ・サルヴオの乞いを悉く拒けた。そして父にケネスと共に家産を回復することを勤めた。ニューヨークから帰って来たポールを指してヨーギ僧は愛こそサンヤが選ぶべき道であると告げた。

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