アリバイ(1929)

解説

「バット」「赤い鳩」と同じくローランド・ウェスト氏の監督作品で、ジョン・レイ氏、J・C・ニュージェント氏、エレイン・スターン・カリントン女史等三人の合作になる戯曲「警棒」をウェスト氏自らC・ガードナー・サリヴァン氏と共に脚色したものである。主役を演ずるのは「深夜の太陽」「愛の闇路」のパット・オマリー氏、「ファジル」のメイ・ブッシュ嬢、それと舞台俳優たるチェスター・モリス氏、エリナー・グリフィス嬢、等の人々である。この映画は無声、発声の両種が輸入せられたが、発声の方はオール・トーキーとなっている。

1929年製作/アメリカ
原題:Alibi

ストーリー

ジョーン・マニング(エリナー・グリフィス)は警部ビート・マニングの娘で思いやりの深い女であった。彼女は日夜不逞の徒の検挙に寝食を忘れてはげむ警察官に囲まれた環境に育ち、その厳酷な監視を見て、もしそれを寛大にしたならば、正しい道を歩む機会が人々には多く与えられるのではないかと思っていた。この同情が、ちょうど出獄したばかりのチック・ウィリアムス(チェスター・モリス)に向けられ、やがて二人は恋仲となった。父親はジョーンを説いてウィリアムスを断念させ、幼友達の刑事トミー・グレノンと結婚させようとしたが、ジョーンはウィリアムスを自分の愛情で更正させようと決心した心を変えず、秘かに彼と結婚する。ジョーンとウィリアムスが芝居を見ていた夜、ある町で警官射殺事件が起った。犯人の疑いはウィリアムスにかかったが、彼はその時間に現場にいないことを、劇場にいたことによって立証した。ジョーンは、ウィリアムスが前科者であるために、警察から容疑者扱いされているのだと憤る。トミーはこの事件の捜査に当り、劇場と兇行現場との間を自動車にて往復し、時間的に犯行は可能であることを確かめた。そして自動車の運転手を尋問し、確証を得たので更に歩を進める。刑事ダニー・マクガン(レジス・トゥーミー)はウィリアムスの出入する倶楽部に入り込んで、動機を探ることとなった。そしてマクガンは、ウィリアムスが劇場の十分間の休憩時間を利用して、犯罪を行ったことを突き止める。それを悟ったウィリアムスはマクガンを殺して倶楽部を逃れ、ジョーンの許に逃げ帰った。トミーと警官の一隊はそれを追い、彼の家を包囲する。それからトミーは単身ウィリアムスの部屋に押し入り、彼を追い詰めて自白させる。ウィリアムスはなおも逃げようとして屋上に上がるが、足を踏み外して転落死する。事件は解決し、目の醒めたジョーンはやがてトミーと結婚するのだった。

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