紅い酒

解説

かつては俳優たりシナリオ・ライターたりしたレイモンド・キャノン氏の自作自監督の作品である。脚色はアンドリュー・ベニソン氏とチャールズ・コンドン氏との手になった。「四人の息子(1928)」「無頼漢(1928)」のジューン・コリアー嬢と「ブリキ帽」「ミシガン小僧」のコンラッド・ネーゲル氏との共演する映画で、この2人を助けて「親爺若返る」のアーサー・ストーン氏を始めとし、シャロン・リン嬢、エー・アリン・ウォーレン氏、等の人々が出演している。

1928年製作/アメリカ
原題:Red Wine

ストーリー

チャールズ・エッチ・クック氏は年ようやく中年に近づいた紳士である。彼は愛妻のアリスと共に至極平和な穏やかなそして幸福な年月を今日に至るまで送って来たのである。が、この頃チャールズの心中に穏かならぬ波動が起って来た。というのは彼が己れが世の面白さを味わないで今日まで過して来てしまったということを覚ったからである。この悔いに似た焦慮は彼を馳ってあらぬ方へ突っ走らせようとするのである。なるほど彼はゴルフ場でもクラブでも多くの友達を持っている。が、一朝、その友達共が何か面白い企てをすることになると、彼はたちまちにして仲間外れにされてしまうのである。そうした内にも彼にも恵まれる日がめぐって来た。同じクラブの一員で悪友のジャック・ブラウンが彼をナイト・クラブの底抜け騒ぎに誘ったからである。彼はリュウとした風でおめかしをして出かけて行った。彼は初めて女というものがどんなに美しく愛すべきものであるかを知った。がその一騒ぎが済むと、彼はたちまち良心の呵責に堪えられなくなって来た。彼は、何も知らずに微笑む妻の前に出る価値がない男のようにその身を感じた。一度覚えた歓楽は彼を再びそそのかすのである。そこで再び彼は誘われた。今度はただで済みそうもなかった。しかし妻の真心と盲目の愛とは最後には彼をシッカリとその家庭へと結びつけてしまうのである。

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