愛欲の絆

解説

「感激の泉」「運命(1928)」に次ぐ、リチャード・バーセルメス氏主演映画で、フィリップ・ギブスの原作をジェラルド・C・ダフィー氏が脚色し、「踊子気質」「獄中日記」等と同じくジョン・フランシス・ディロン氏が監督したもの。助演者は「紅い唇(1928)」「人生交響楽」のマリアン・ニクソン嬢、「大自然を敵として」「紅の大空」のロバート・バレット氏、エミール・ショータール氏、ボディル・ロージング嬢等である。

1928年製作/アメリカ
原題:Out of the Ruins

ストーリー

「青い悪魔車」と呼ばれるフランスの或る戦隊にピエール・ヂュモンという勇敢な中尉がいた。彼はある時名誉の負傷をしてパリに送還されたが、戦友ポール・ジルベールの妹イヴォンヌという楚々たる乙女と知り合い愛し合う仲となった。2人の楽しい逢瀬も非常招集令が下りたので終わりを告げ別離の涙をしぼった。ところがイヴォンヌは家の事情で思わぬ男と結婚せねばならぬことになり嘆き悲しんでいたが、絶望の挙句戦線に在るピエールの許に助けを乞うた。ピエールはパリへ送還される為故意に負傷したが、送還許可が下らないので病院から脱走してパリへ行った。彼は結婚を済まして直ぐに戦線に引き返すつもりだったがイヴォンヌの熱情にほだされて思わずも夢のような2、3日を過ごしてしまった。その時戦線では敵陣の猛襲が開始されて負傷兵が続々とパリへ送られて来た。流石にピエールハ己が不甲斐なさを悟ってイヴォンヌの手をふりきって隊へ帰った。軍規は曲げられず彼は軍法会議の結果銃殺の宣告を受けた。それから間もなく休暇となり平和が訪れたがイヴォンヌの胸は悲しみに閉ざされている。嫌いな男からは結婚を申し込まれるので戦争で盲目になった兄のポールに慰められて涙のうちに日を送っていた。ところが或夜ピエールが戻って来た。銃殺された筈の彼は負傷しただけで生命をとりとめ折しも進撃して来た敵陣の捕虜となったが、休戦で放免され軍法会議に自首した結果晴れて自由の身となったのであった。イヴォンヌはピエールと抱き合い永久に別れじ離れじと涙に咽んだのである。

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