愛の医者

解説

「レッドスキン」「人生の轍」に次ぐリチャード・ディックス氏の主演映画でウィンチェル・スミス氏とヴィクター・メイプス氏合作の舞台劇「ブーメラング」をガイ・ボルトン氏とJ・ウォルター・ルーベン氏が改作脚色したもの。監督には元ユニヴァーサル社にあって「紅い唇(1928)」その他を作ったメルヴィル・ブラウン氏が当たっている。主演者のほかに「ロマンスの河」「青春の幻想」のジューン・コリアー嬢、「グリーン家の惨劇」のモーガン・ファーレイ氏、ミリアム・シーガー嬢、ウィニフレッド・ハリス嬢、ローフォード・デイヴィッドソン氏等が助演している。キャメラは「人生の轍」「レッドスキン」のエドワード・クロンジェガー氏が担当。

1929年製作/アメリカ
原題:The Love Doctor

ストーリー

若い医師ジェラルド・サムナーは恋愛などというものは有害無益、勉強の妨げになるものだという持論から今まで幾たびか機械に見舞われながらも巧みに体をかわしていた。だがここに2人の女性が期せずして彼を恋することになった。1人は看護婦のヴァージニア、もう1人はグレースというお転婆娘である。サムナーが開業して2週間目にやっと初めて患者があった。母親に連れられてきたバッドという若者がそれであるがこの男の病気はバカにむずかしく方々の医者がさじを投げたものである。だがサムナーは偶然この男の病気が失恋であることを知った。まさにその通りバッドはグレースの戯れにひっかかって捨てられたのである。サムナーは療法として患者を田舎に送りヴァージニアをつけてやる。日曜日にサムナーが患者を訪ねようとするとグレースもついて来ると言い出した。ヴァージニアと舟を浮かべながらグレースも来たことを話すと彼女はやにわに舟を覆した。サムナーは驚いて彼女を助け陸に上がる。そして小屋で嵐を避けている時はじめて自分もヴァージニアに恋していることに気づく。強硬な持論がメチャメチャになりそうなのでサムナーは気が気ではない。弱り切って都会へ帰ろうとすると今度はグレースが仮病を装って倒れる。彼が介抱しているのを見たバッドは嫉妬にのぼせて2人の結婚を主張してきかない。仕方なくサムナーは電話線を切っておいて婚約披露の電話をかける。そうしておいてから彼はもっともらしい顔をして、実は近い内に自分はある精神病院へ勤めることになるから妻たる者も患者と仲良しにならなければいけないと語る。グレースはびっくりして婚約を取消し、バッドの腕に抱かれる。ここで事件にうまくケリがついてサムナーはヴァージニアを未来の女房に決める。

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