「凄まじい【生】へのエネルギー。」アシュラ(2012) みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)
凄まじい【生】へのエネルギー。
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今よりも表現力の自由があった時代に、有害図書のレッテルを貼られたジョージ秋山の漫画が原作である。
もうCGアニメとは思えないほど、思わず目を背けたくなるような残酷シーンのオンパレード。
室町時代の戦や飢饉により秩序が荒廃した社会で産声を上げたアシュラと呼ばれる少年は、人類の最大のタブーとされる共喰いで己の空腹を満たしながら生きていた。
人肉食!!
今の世も、天災地変は起こり続けているが、これを敢行する日本人はさすがにいないだろう。
餓死してもいいから人肉(実際は馬肉だったが)は口にせず、人間としての威厳を保って死にたいと願う美少女の若狭の毅然たる姿が痛ましい。
そう言う声無き弱者の多くの犠牲の上に、今の平和な日本が構築されていることを、私たちは忘れてはならないと思った。
劇中、アシュラは何度も墜ちる。
ある時は母親の手から、ある時は断崖から、またある時は吊り橋から…と。
その度に、アシュラは何度も自力で上を目指して這い上がって来る。
何たる【生】への執念か!
墜ちたら、這い上がるしかないだろう、と頭の中では分かっていても、それを実行せずにそのまま堕落してしまう現代人が結構多い。
そんな人は、ひたすら【生】に向かって邁進するアシュラの姿を脳裏に叩き込むべきである。
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