ビトレイヤー : 映画評論・批評

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ビトレイヤー

劇場公開日 2013年5月4日
2013年4月30日更新 2013年5月4日より新宿シネマカリテほかにてロードショー

挫折した熱血刑事と熟練の犯罪者の意地と誇りをかけた戦い

リドリー・スコットが製作総指揮なので一応観たら、これが思わぬ拾い物。自ら脚本も書いた新鋭のエラン・クリービー監督は、必要不可欠な描写以外は潔くそぎ落とし、99分間の全編に濃密な時間が流れる上質の刑事サスペンスを作り上げた。

舞台はロンドンだが、歴史的な街並みは映さない。高層ビル街など、知られざるロンドンをスタイリッシュに切り取り、どこの都市でもあり得る陰謀を不気味に背景に潜ませる。そして、運命的に絡み合う挫折した若手刑事と初めて無力さを感じるベテラン犯罪者の意地と誇りをかけた戦いをクールに、ときに情感を美しく滲ませて描いていく。

3年前に屈辱を味わされた敵を、今再び追えるチャンスを得て熱くなる刑事マックスを、ジェームズ・マカボイが所作も表情も豊かに熱演。対する熟練の犯罪者スターンウッドを、マーク・ストロングがクールに知的に好演。戦いの前にさりげなく仕掛けや武器を隠し、後で見事に使いこなす描写も効果的だ。

映画は、このふたりの静と動の対比ではじまり、それぞれが心に痛手を受けて接近し、巨大な陰謀の全容が明らかになるクライマックスへとなだれ込む。

役者たちの好演と、例えば暗がりでマックスの目から落ちるひと粒の涙を何げなく映すといったツボをおさえた演出で、ふたりの心の動きが手に取るようにわかり、胸を打つ。それぞれが得る数々の情報もきちんとつながり、少々入り組んだ展開のすべてに納得できる。

ただ、イギリスは銃規制が厳しく、通常は刑事も銃を携帯できない。それを知らないと奇異に思えるシーンが冒頭からあるので、そのことだけは念頭に置いて観て欲しい。

(山口直樹)

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