カミハテ商店のレビュー・感想・評価

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カミハテ商店

劇場公開日 2012年11月10日
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語りすぎず、照らしすぎず

ラストが、絶妙。
ここで終わってほしい、という瞬間に、画面が暗転した。よしっ、と心でひそかに膝を打ち、思いきり余韻に浸った。
自殺の名所とされる断崖のそばで、小さな店を営むヒロイン、千代。彼女は淡々と自殺志願者に牛乳とコッペパンを売り、帰って来ない者の靴を持ち帰る。
ここで終わるのかな、というくだりは中盤にあった。でも、そこで終わるのは「自殺はいけないこと、否定すべきこと」という正しすぎるメッセージにならないか。はてさて…とはらはらしていたら、すっと物語は続いてくれた。うれしい裏切りに安堵する。では、どのように幕切れへ向かい、決着するのか? 新たなはらはらを抱きながら、ひたすらスクリーンを見つめた。
つくられた物語には起承転結がある。例えば、ハッピーエンドはすわりがいい。けれども、実際の人生はその先も続く。小さなエピソードが幾重にも繋がり重なり、後々で思いもよらぬ意味を持つ。矛盾しているかもしれないけれど、本作は、そんな実生活に、より近いフィクション。ドキュメンタリーをこつこつと丁寧に作り上げてきた、山本起也監督ならではだと思う。
加えて印象的なのは、舞台となる山陰の小さな港町を照らす光だ。千代の心境の変化を表すかのように、前半と後半で光のトーンが一変し、さらには物語の起伏に合わせて細やかに変化する。特に、ラストで彼女を照らす光の力! 自然光が、ここまで物語るとは驚いた。
光と音、そして人々の佇まい。細部まで作り手の想いが伺える。けれども、それらをすべてを見逃すまい、聞き逃すまいと気を張ったり、暗喩を読み解いたりすることにこだわる必要はないだろう。むしろ、その時の自分にふっと引っかかるもの、すっとしみ込むものを大切にしたい。そして、共に観た人と分かち合いたい。そう思った。

cma
cmaさん / 2013年8月26日 / スマートフォンから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  悲しい 知的 幸せ
  • 鑑賞方法:映画館
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生と死との狭間 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

人生に疲れ、最後の場所として皆が訪れる上終(カミハテ)駅。そこで女店主の千代は、何の変哲もないコッペパンを焼き牛乳を売っていました。カミハテ商店でパンを買い最後の食事を取った人達は、帰りのバスに乗る事も無く、断崖の上に靴を残すだけ。店主は、もう履かれる事の無い靴を、そっと断崖から持ち帰って来るのでした。

映画では、多くの会話はありません。しかし、人と人との繋がりには、言葉以上に大事なものがあるようです。
一つのコッペパンや、一本の牛乳。置き去りにされた靴。
どうでもいい様な日常の繋がりが、本当は大切な繋がりになっているようです。

一度止めてしまったパン作りを、千代は又再開します。でも、もうただ見送る事だけでは無く、人と人との繋がりを探して行くのでしょう。
地味なストーリーと穏やかなセリフです。盛り上がりには少し欠けますが、生と死との狭間で言葉以上に繋がっている、人と人との関係性を考えさせられる映画となりました。

やっくん
やっくんさん / 2012年12月5日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  知的 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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