カミハテ商店

劇場公開日:

カミハテ商店

解説

京都造形芸術大学の学生とプロのスタッフ・キャストがタッグを組む北白川派映画の第3弾作品で、自殺の名所となった崖の近くで商店を営む初老女性の目を通し、死生観への真意をなげかける人間ドラマ。山陰の小さな港町・上終(カミハテ)で、母の残した店を引き継ぎ、パンを焼いては細々とそれを売って生活している初老の女性・千代。いつの頃からか、店のそばにある断崖絶壁が自殺の名所となり、店に見知らぬ訪問客が現れるようになる。彼らは人生の最後に千代が焼いたパンを食べ、千代も彼らが自殺するであろうと気づいても止めることはせず、ただ見送った人々が崖に残していった靴を持ちかえる日々を送っていた。千代役は「花物語」(1986)以来23年ぶりの映画主演となる高橋惠子。千代の弟役に寺島進。

2011年製作/104分/G/日本
配給:マジックアワー、北白川派
劇場公開日:2012年11月10日

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(C)北白川派

映画レビュー

2.0寺島氏の演技が、もっと評価されてよいと思う。

2023年7月17日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

単純

寝られる

『名前のない少年 脚のない少女』の映像の色調、音楽と似ている。
普段自死志願者と関わっているので観ておかなきゃと鑑賞。

父に目の前で自死され、母も亡くなり、年齢的にも、地域的にも、生きている実感・意味が見出せない千代。皮肉なことにそんな彼女の前に、自死志願者や自死をレジャーのように扱う女子達が現れる。そんな彼らにいら立つ千代。

同時並行で、いかにも自死しそうな弟・良雄が描かれる。

制作前に自死者に関するリサーチを行ったと聞く。だからか、良雄の行動はリアリティあるのだけど、それ以外の人々は表面的で実感できず。
 牛乳配達の青年も中途半端。知的障害・自閉症的な演技も中途半端だし、何故崖の際に立ったのかも流れが読めない。彼なりに直前に関わった女の子のことが引き金になったの?と思う位(学生としては…とも思いたいけれど、子役で見事な演技している人たくさんいるからなあ。掘り下げ方が足りない)。
 ほとんどのエピソードが唐突で、しかも演技も演出も表面的。千代の心の変化に焦点あてた?のかもしれないが、映画全体としてはついていけない。
 役所の対応もなあ。千代に協力求める以前にバスの運転手と連携しろよ、という感じ。バスの運転手もラストにあの言葉を吐くくらいなら、土地の者以外の乗客を乗せた時点で、警察に通報しろよと思う。
 上記のような生い立ちの千代が「死にたい奴は死んだらええ」と叫びたくなる気持ちはごもっともとわかるのだが、脚本・演出が粗すぎる。高橋さんが見事な演技をされているだけに、もどかしい。高橋さんが行間を埋める演技をされていたから、映画として瓦解せずに済んだものの…。
 重いテーマ扱っていることに加えて、カメラが手ぶれする場面もあり、鑑賞していて酔いそうになった。演出なのか…。私的には、テーマがテーマなだけに、腰据えてどっしりと撮って欲しかった。主演俳優は、そんな小細工必要としないもの。

自死したいという人の話を伺う機会がある。いろいろな方がいる。本当に八方ふさがり・抜き差しの成らない状況。声すら出ない時も。千代の気持ちも良雄の気持ちもとてもわかる。
 だからこそ、自死者やお遊びのように自死的な行動をとる人々を類型的に表面的にしか作り込めていないことに、観ていていら立つ。本当に自死者・自死志願者の苦しみをわかって描いているのかと怒りすら覚える。
 リサーチって何をリサーチしたの?心で理解したと言うより、統計的・類型的に頭で理解した感じ。リサーチするより、東尋坊のボランティアに1週間くらいくっついて、一緒に行動してほしかった。いのちの電話関係者に監修してほしかった。

権威ある映画祭に正式招待された映画という。だが、私的には映画学科の卒業作品。頭でっかちに、自分達だけの撮りたい世界だけをを作り上げた自己満足作品。高橋さんの演技が評価されて招待されたというのなら理解できるが。
 良いテーマを扱っているなあと、その挑戦には敬意を払う。でもだからこそもっと丁寧に扱ってほしかった。

それでも、高橋さんに加えて、寺島氏の演技は秀逸。
 ラスト、あのお金を使い込むのか、それとも…。そんな葛藤・逡巡を歩いていく後姿だけで表現しきっている。さすがやなあと感服いたしました。なので☆1つアップしました。

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とみいじょん

3.5語りすぎず、照らしすぎず

2013年8月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

知的

幸せ

ラストが、絶妙。
ここで終わってほしい、という瞬間に、画面が暗転した。よしっ、と心でひそかに膝を打ち、思いきり余韻に浸った。
自殺の名所とされる断崖のそばで、小さな店を営むヒロイン、千代。彼女は淡々と自殺志願者に牛乳とコッペパンを売り、帰って来ない者の靴を持ち帰る。
ここで終わるのかな、というくだりは中盤にあった。でも、そこで終わるのは「自殺はいけないこと、否定すべきこと」という正しすぎるメッセージにならないか。はてさて…とはらはらしていたら、すっと物語は続いてくれた。うれしい裏切りに安堵する。では、どのように幕切れへ向かい、決着するのか? 新たなはらはらを抱きながら、ひたすらスクリーンを見つめた。
つくられた物語には起承転結がある。例えば、ハッピーエンドはすわりがいい。けれども、実際の人生はその先も続く。小さなエピソードが幾重にも繋がり重なり、後々で思いもよらぬ意味を持つ。矛盾しているかもしれないけれど、本作は、そんな実生活に、より近いフィクション。ドキュメンタリーをこつこつと丁寧に作り上げてきた、山本起也監督ならではだと思う。
加えて印象的なのは、舞台となる山陰の小さな港町を照らす光だ。千代の心境の変化を表すかのように、前半と後半で光のトーンが一変し、さらには物語の起伏に合わせて細やかに変化する。特に、ラストで彼女を照らす光の力! 自然光が、ここまで物語るとは驚いた。
光と音、そして人々の佇まい。細部まで作り手の想いが伺える。けれども、それらをすべてを見逃すまい、聞き逃すまいと気を張ったり、暗喩を読み解いたりすることにこだわる必要はないだろう。むしろ、その時の自分にふっと引っかかるもの、すっとしみ込むものを大切にしたい。そして、共に観た人と分かち合いたい。そう思った。

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cma

3.5生と死との狭間

2012年12月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

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やっくん
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