マージン・コールのレビュー・感想・評価
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演出はサスペンス。内容は人間ドラマ
大規模リストラが行われている中でケビン・スペイシー演じるサムは、飼い犬の治療費に1日1000ドルもかけたのにダメそうだと嘆く。失業者が出ている横でのこの発言は自分の金にしか興味を示さない非情な男に見える。このときは。
サムは勤続30年以上だという。サムにとって会社は家族だ。家族を守るため非情なリストラも敢行してきた。
他の経営陣には地位や金を守るため行動する自分たちと同じに見えていても、守りたいものの根幹がサムは違ったのだ。
だから会社が死んでしまうラストの強硬策に強く反対した。
冒頭の飼い犬についての嘆きの意味が、いくら手を尽くしても家族が助からないことについての悲しみに変わる。
墓穴を掘らずに済んだという経営者の言葉と対をなすように飼い犬の墓穴を掘るラストのサム。
飼い犬は会社のメタファーだ。サムは物語の中で家族のように大切な会社の墓穴を掘ったのである。
このレビューを書くまで気づいていなかったが、監督兼脚本はJ・C・チャンダーだった。
彼の作品は本作で3本目だが、観た作品に共通することとして、大きな力に翻弄されながらも抗う男を描いていると思う。
もう掴めるものがほとんどなくなった中でも微かに希望を見ようとする力尽きた男。そんな哀しき物語だったように思う。
リーマンショック時の巨大投資銀行を描き、とても興味深い映画ではあったが、リアリティを感じなかった
J・C・チャンダー 監督による2011年製作(106分)アメリカ映画、原題:Margin Call
サブプライムローン破綻による巨大投資銀行崩壊時の経営者による顧客を裏切る行動や中間管理職の葛藤や開き直り的行動等が描かれていて、興味深くはあった。
ただ、多くの社員が解雇される中、明日にも迫ってる自社の危機的状況を、首切られた調査員意外は誰も知らないという状況はかなり信じにくかった。反面、暴落中の債券を顧客に売る抜けろとのトップの指令は分かりやすかった。また、その指令には従え無いと思う中間管理職が結局は陣頭指揮してそれを行なうことや、馘首を免れて安堵する姿は納得できる部分はある。しかし、多くの債券が売り抜けられ、大量解雇もあり、何とか企業も主人公も生き残る様な描写には、リアリティを全く感じられず不満が募った。
実際はどうであったのか?
BBC製作の「リーマン・ブラザーズ 最後の4日間」(2009年放送)では、米国政府もしくは他企業が救ってくれると楽観的に思っていたが、そうはならなかったリーマン・ブラザーズの経営トップの姿がシビアに描かれていた。他力に縋るばかりで、自力再生の試みは全くなされていない様であった。やはりそれが現実だろうと再認識させられた。
監督J・C・チャンダー、製作ジョー・ジェンクス 、ロバート・オグデン・バーナム 、コーリー・ムーサ、 マイケル・ベナローヤ 、ニール・ドッドソン 、ザッカリー・クイント、製作総指揮カシアン・エルウィズ 、ローラ・リスター 、ジョシュア・ブラム 、カーク・ダミコ 、ランディ・マニス 、アンソニー・グダス 、マイケル・コルソ 、ローズ・ガングーザ、脚本J・C・チャンダー、撮影フランク・デマルコ、美術ジョン・ペイノ、衣装キャロライン・ダンカン、編集ピート・ボドロー、音楽ネイサン・ラーソン。
出演
ケビン・スペイシー、ポール・ベタニー、ジェレミー・アイアンズ、ザッカリー・クイント、ペン・バッジリー、サイモン・ベイカー、メアリー・マクドネル、スタンリー・トゥッチ。
ケビン・スペイシーが好演。
リーマンブラザーズを題材にした映画。業界にいたことがあるので懐かしい感じがした。ケビン・スペイシーの出演作ではやはりユージュアル・サスペクツが一番印象に残っているが、投資銀行のマネージメントとしての演技も悪くないと思った。僕の英国人の元上司を思い出した。
ケビン・スぺイシーのキャラ設定が少しブレていませんか?
金融危機の発端となったリーマンブラザーズ破綻の一日を描く物語。
実話をもとにしているだけあって、リアルで緊迫感がある私好みの作品でした。
登場人物がそれぞれの立場で動揺し、悲嘆し、会社を守るために、或は金融マンの矜持を守る為に奔走する様を、丁寧に描いていきます。
特に、数人の社員が屋上で話し込むシーンは、寂寥感を肌で感じるお気に入りのシーンでした。
事が事だけに、カタルシスを感じる展開にも、意外性を感じる展開にもなり難く、高い評価は難しい作品だとは思います。しかし、それでも私的評価4を付けたくなる作品でした。
流れる空気感が良い。
初めから細かい説明的なシーンは無くストーリーは進んでいく。
リーマンショックの事を知らなくても、歴史的な出来事が人々のエゴによって引き起こされた事は理解出来ると思う。そして時代は繰り返されるのか。
色々な教訓に満ちている。
さらにそれらを理解出来なくても、世界的に衝撃を与えたリーマンショックの話なのに、ゆったりとしたストーリー展開に流れる空気感は心地がいい。
会社、組織の本質的なところが見える
リーマンものでシリアスな場面であるが、解雇されたもの、何をしてるのかわからない偉い人、信念持って働いて部下を動かすもの、
そんな場面で、残り、ファイヤされ、昇進する人も出てくる。
会社、組織の本質的な部分が見える。日経企業ではそこまで明確ではないにせよ、基本は同じだろう。
中で働くのは人で、そんな大損失出してもペットに涙して、人の給料ばかり気にしている若者はファイヤされる。
恥も外聞も無く生き残る強欲と容赦なく解雇される社員 残る者は、富を...
恥も外聞も無く生き残る強欲と容赦なく解雇される社員
残る者は、富を手にする為にモラルや信念を捨てていく。
ウォール街の力学
サブプライム・ローンへの投資を証券化し金融商品として取引可能にしたサブプライム・モーゲージは金融工学による巧妙なリスクの分散、不可視化を図った画期的な商品だったが当初から関係者の間では危険視されていたとリーマン・ショック後の報道で知った。金融危機を描くならその辺の舞台裏を描いた方が興味深いが本作では破綻の危機を前にした投資銀行の幹部の落胆と葛藤の様を描いている。銀行ものだからと言って間違ってもNYの半沢ものなどと期待してはいけません。
ケビン・スペーシーだから何か秘策があるかと期待したが、ウォール街の力学に屈してしまった。
脚本・監督のJ・C・チャンダーさんの父はNYの投資銀行家だったので、いくら映画でも青臭い嘘は描けなかったのでしょう。
余裕もなく小心者の私としては金融投資関係は余り縁のない世界なので登場人物に対してのリアリティは云々できないが理工系の秀才がかなりいるらしいとは聞いたことがある、上層部は如何にもという人物像、もっともCEOはリーマン・ブラザーズの元CEOを暗喩しているようです。
確かに解雇は身につまされはしますが証券関係は景気次第で待遇が極端な業界なので致し方ない気もします。
首元まで資本主義経済にどっぷり嵌っているご時世では善悪で描ける単純な話では無いですし謎のUSBなどとサスペンス風に入ったものの、それほどの盛り上がりにも欠けている、いわばドキュメンタリードラマを観ている感じというのが正直な感想です・・。
これなら2時間越えでも十分観れた
リーマンショック周辺を題材にした作品って結構あると思うが、その中でもガチのつくり方をした映画といえる。ガチというのはドキュメントとしての精度ではなくドラマとして。観やすい演出など一切なく終始緊迫感のみ。もろ大人向け。
投資に興味があるないで観る人の飲み込みは違ってくるが、事の全体像はあまり描かず社内の勢力図というか上下の力関係を主に描いているので、そこはわりかし間口が広いのではないかと思われる。(これ関連良作のマネーショートは全体も描いていたぶんややこしさもある)
キャスティングに惹かれて観る人も多いのでは。その点裏切られず満足できる。ただちょっと終わり方が呆気なさ過ぎるかな。これなら2時間越えでも十分観れた。
サスペンス?
約24時間の出来事。
サスペンスと書いてあったけど、ハラハラドキドキの連続…ではない。
なんていうか、上の人達だけが何事もなかったかのように残り、下々は解雇。
それに文句を言う人もいなかったのか?
案外現実的な内容だったのかもしれない(よくわからない)が、リーマンショックを題材にした他の作品の方がもっと緊迫感があった。
クライマックスがどこだったかも見えづらく、盛り上がりに欠けた作品だった。
金融の知識が必要。
どうやら会社にとって相当ヤバい事実が見つかったようだ。からの、会ったこともない重役と会議して、天上人みたいな社長からも直接ヒアリングされてっていう。
この辺まではある種のお祭り感覚というか、ヤバいんだけどなんかハイになっちゃうっていうのが面白かった。
僕は金融の知識もないし大企業に勤めてるわけでもないけど、そりゃ金儲けのためだけの商売なんて健全じゃないよね、と。
劇中でも言われてたように、複雑に膨れ上がった資本主義のツケみたいなもんなんですかね。
終盤に展開されるオハイオ川の橋の話。あれは良かった。
仕事って、ちょっとずつでも良い世の中にするためにするもんでしょうっていう。
敬遠してた「マネー・ショート」も見てみようかな。
年収が億を超える世界って…
リーマンショックを描いてた金融モノ。外資系金融は何かと別格ですなぁ…
映画的には特にドラマティックな事も起こらない。金融業界に一石を投じたり問題提起をするわけでもなく、投資会社の没落の一日を淡々と描く。
ただ、キャストは相当豪華で、ケビン・スペイシー、ジェレミー・アインズ、スタンリー・トゥッチ、デミ・ムーア、主演級の顔ぶれで映画全体に重厚感を出している。
自分のために大勢の他人を犠牲にして大暴落を招くべきか
総合70点 ( ストーリー:70点|キャスト:70点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
多額の怪しい金融取引をしておいて昨日まで誰も会社の抱える巨額の損失に気がつかなくて、その8兆ドルという巨額の損失を一日で大量に処分出来てしまえるという展開は現実的とは思えない。だけど普通の会社員の一生分を一年で稼ぐような桁違いの報酬を手にしてそんな生活に染まっていきながらも、誰もが生き残るのに必死で、そのために何でもやっていくという虚しい世界観が描かれていて面白い。冷たい殺伐とした雰囲気の中で、倫理を完全に無視して利益を最優先して積極的に動いたり、あるいは苦悩しながら結局は倫理観に目をつむったり。ウォール街のある投資銀行の緊迫の一日を通して、利益至上主義の葛藤や緊迫感や問題点が散りばめられていて楽しめた。ただし話が会社組織の内側だけで終わっていて経済に与える影響を描いていないので、大暴落で混乱する社会の部分を挿入してくれたらもっと良かった。
映画である必要性は?
まぁ、大半の人にとって生々しい記憶のある主題だったので、あまり映画的な筋立てというのも難しかったのかもしれませんが、やっぱり事実に忠実(なのかな?)にしようとすることで、結果的に映画にする必要があったのかな、という疑問が湧いてしまいましたね。
ほとんどのシーンがずっとビルの中の息詰まる感覚とかリアルなのでしょうけれども、映画的な緩急という意味では、それが欠けていたような気がします。たとえば、ピーターが「ビルの中にいたくなくて」街を徘徊するシーンがあったと思いますが、あの辺りでもっと虚無感を演出できたら、より面白くなったような気がするんですけどね。
しかし、まぁ、もしこれが事実に近いお話だったのだとしたら、あの頃、内部はこんなんだったのね、ということが肌で感じられたのは良かったですね。
そこそこ豪華キャストだが…
専門的なことはいわないが、おもしろくない。
ウォール街やインフォーマントみたいなぬる〜い映画が好きな人は楽しめると思う。
サイモンベーカーは、やっぱりメンタリストやな。今回の役柄はなんかいまいちでした。
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