危険なメソッドのレビュー・感想・評価

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危険なメソッド

劇場公開日 2012年10月27日
15件を表示 映画レビューを書く

(フロイト×ユング)÷ザビーナ+クローネンバーグ

精神分析の礎を築いたカール・グスタフ・ユングとジークムント・フロイト、そして彼らの功績の影に居た一人の女性患者の史実を描いたデヴィッド・クローネンバーグ監督作。

フロイトとユングも大変有名な人物らしく、確かに名前は聞いた事もある気がするが、詳しくは知らず。
なので、ほとんど予備知識ナシの真っ白な気分で、興味本位も兼ねての鑑賞。

フロイトが発案したのが、“談話療法”。
対話によって、心の奥底に眠る感情を引き出す。
よく色んな映画で、精神科に通う登場人物がソファなんかに寝そべって語る、アレ(だと思う)。
ユングがこの療法を用い、女性患者ザビーナの心の奥底のトラウマに迫る事に成功する。
が、医師と患者の一線を越え、親密な関係になってしまう…。

欲と罪悪感、師弟関係と友情の亀裂…葛藤する複雑な感情をあぶり出す。
異色作の多いクローネンバーグ作品の中で、また別の意味で異色の淡々とした史実ドラマ。
しかし、人間の心の暗部に迫る辺りは、やはりクローネンバーグの作風。

ユングをマイケル・ファスベンダー、フロイトをヴィゴ・モーテンセン、それぞれ巧演。
そして、二人の関係に波紋を投げかけるヒステリー患者をキーラ・ナイトレイ。
女優生命を崩壊しかねない変顔、キ○ガイ演技は衝撃的であると同時に、天晴れ!

近大
近大さん / 2015年1月23日 / フィーチャーフォンから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  知的
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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監督の意図が知りたい

はてさて、映画を観てて思ったのは、なぜクローネンバーグ監督はこの作品を撮ろうと思ったのだろうかという問い。製作の背景とか、誰か知っていたら教えてほしいです!
たゆまず、人間のこころの微妙な揺れを描いてきたクローネンバーグだっただけに、それを突き進めて、心理学の領域へってことなのかな?
いつもの暴力描写は、おかしな方向の暴力描写へと移行してますが、やっぱりそのシーンの力強さという意味では、『ヒストリー』『イースタン』の方が上かなという感じがしましたです。

チャーリー
チャーリーさん / 2014年7月18日 / PCから投稿
  • 評価: 2.5
  • 印象:  悲しい 知的
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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面白かった ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

 クローネンバーグの新作で、そんなに評判もよくなかったので期待しないで見たら、ユングやフロイドの映画で、けっこう面白かった。女の患者が深刻に病んでいて、その原因が性欲を持て余していたことだったため、大変な事になっていた。女優が発作でアゴをぐいぐいしゃくらせていたのが凄かった。おっぱいが出たり、乳輪がはみ出したりして気になっていたら、WOWOWの解説の安西水丸さんも同じ指摘をしていた。

 フロイドとユングがお互いを否定し合って言い合いしているところはヒリヒリとする感じで面白かった。お互い張り合っているものの、ユングは一等船室で、奥さんがすごくできた人で、かなりな長寿だったことも人間トータルな意味で決定的な感じがした。そんなみみっちさがあったからこそ、精神医学が発達したのかもしれない。

 作品作りは己を見つめる事だとは言うけど、このような精神的な病理を直接描くのはリハビリになるかもしれないけど、相当にきつそうで真似できない。大変なお仕事ご苦労様!と思った。

古泉智浩
古泉智浩さん / 2014年1月24日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  興奮 知的 難しい
  • 鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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二兎を追う者は一兎をも得ず

心理学にあまり詳しくない人でさえフロイトとユングの名前くらいは知っている。
ユングの患者であり愛人であり自身も後に心理学者となり、フロイト、ユング両者の理論に影響を与えたザビーナという女性については今作で初めて知ったが、登場人物はすべて実在の人物である。
しかし、何故か、この登場人物がリアルに感じられない。彼等が何故そう行動するのか、どうにも唐突に感じてしまう。
ザビーナが回復して行く過程も彼女とユングが惹かれあって行く過程も表面的な描写しかなく、後の二人の行動は理解に苦しむ。
こちらの方が幾分マシとは言え、フロイトとユングの関係についても、何が二人を結びつけ、決裂に至った決定的な理由は何だったのか、充分に描かれているとは言えない。
ユングとザビーナ、ユングとフロイト、両方の関係を描こうとして、どちらも表面的で中途半端になってしまった印象が否めない。

興味深かったのは、フラリとユングの元を訪れるフロイトの弟子であるヴァンサン・カッセル演じるオットー・グロス。
自らも心理学者であり、ドラッグ中毒者である彼は、ラストで後にベルリンで餓死したことが明かされるが、かなり破天荒な人生を送った人物だったらしい。
登場シーンは少ないが、ザビーナとの関係に対してユングの背中を押すのは彼だ。
夫の気持ちがザビーナに向いていることに気づきながらも、彼を支えるユングの妻も印象的。一番全体が良く見えているのは間違いなく彼女だと思う。

arakazu
arakazuさん / 2014年1月21日 / iPhoneアプリから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  怖い 難しい
  • 鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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危険なのはメソッドではなくて…

クローネンバーグ監督は特に熱心なファンという訳ではなかったが
興味があったユングとフロイトを描くと聞いて観た。

地味。
ユング、フロイト、どちらを主人公にしたとしても地味になるよなぁ精神分析の開祖だとしても。
(二人の医師の主張の方向性とか決別なんかを知ってないと楽しめないと思う)
そこをキーラ・ナイトレイの体当たり演技でみせる志向か。

抑えた演出で淡々と進んでそのまま終了。
映画的興奮は特になし。

キーラ・ナイトレイのオッパイは見れますけど、得した感がない(笑)
精神分析医に興味がなければ観る必要はないかな。

散歩男
散歩男さん / 2013年12月21日 / PCから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  知的
  • 鑑賞方法:映画館
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暗い部屋と白い壁 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

あら何この映画、すんごく面白い!!!!!

いやー何より映像がイイ!!(この監督の画がカッコイイのは当たり前っちゃ当たり前なんだが)。
ユングとフロイトの対比がとてもイイ。

フロイトの部屋は暗く混沌としている。
対してユングを描くときのバックは白基調の無機質な感じ。病院が舞台ということもあるけど白い壁がとても印象的だった。

暗い部屋と白い壁。
何だろうこの映像の対比。単なる学問上の対立だけでは無いような。

--

フロイトは当時(20世紀初頭)のヨーロッパ医学会・心理学会ではかなり批判も多く鬼っ子的存在(現在でも狭義の心理学にはフロイトは含まずというスタンスは根強い)。
なおかつフロイトはユダヤ系(後にナチスの迫害を受けアメリカに亡命せざるを得なくなる)。
もうひとつオマケに子沢山で貧乏。
(さらに言えば、映画では描かれていないがユング以外の有力な弟子アドラーなども次々と離反し、かなり孤独な時期もあった。)

なんつうか苦難とコンプレックスの役満である。
それを映画では薄暗い部屋で表現していたのか?(そう単純でもないような気もするが…)

そんな苦難の中でも、自分の説を学問として確立しようと尽力したフロイト。
偉くもあり、その妄執が怖くもある。

アラゴルン・モーテンセンが偉人フロイトの妄執を淡々と演じていて、とても良かった!!

--

対するユングは、ドイツ系でお金持ち&スイス住まい。当時のヨーロッパ事情の中では、フロイトに比べかなり恵まれている。
それでいて保身のためなら愛人を平気で捨てる酷薄さも併せ持つ。

酷薄さを表現するための白い壁だったのか?清廉さを装う彼を皮肉る白い壁?
それともユングの学問への思い崇高さを表現するための無機質な壁だったのか?

無機質な白い壁の前で繰り広げられる、患者との不倫(まるで昼メロみたい)。このギャップがとてもイイ!!
無機質と肉欲という真逆なものが一つになった感じがグっとくる。

無機質と肉欲、聖と俗、正気と狂気の間を行ったり来たりするユングの描写がとても面白かった。
正気と狂気は陸続き、差なんてないんだなーと思ったりもした。

--

そしてもう一人、超面白い男オットー・グロスも出てくる。

父親はドイツ犯罪学の権威ハンス・グロス。強い父親に反抗して、かなーり破天荒な無政府主義者になってしまった人。エディプスコンプレックスを地でいく男。秀才でフロイトを支持する論文も残している。

彼の生涯は一本の映画になるくらい面白いのだが、この映画ではサラっとしか説明されていない。
それでもオットー演じるバンサン・カッセルが好演。
オットーの破滅的な魅力、虚ろな眼の奥に潜むコンプレックスを説得力ある演技で見せてくれたと思う。

--

最後に、ユングの患者であもり愛人だったサビーナ・シュピールライン。
彼女自身優れた学者でもあり、フロイトのタナトス概念に影響を与えた。
まさに精神分析界のファム・ファタル。

ザビーナ演じるキーラ・ナイトレイが個人的にはとても良かった!!

シャクレ、痩せ過ぎ、貧乳という彼女のマイナスポイントが、この映画では逆にプラスに。神経質な才女という役にピッタリ合っていたと思う(かなりベタな発想で本当に申し訳ないんだが爆乳に神経質は似合わない)。

乳むき出しで尻を打たれて喘ぐキーラ・ナイトレイ。絶妙なリアリティにグっとくる。巨乳だったらエロが勝ち過ぎて方向性が変わっていたかも。貧乳もこんな活かし方があったのね…と目から鱗が落ちた(乳のことばかり書いて本当に申し訳ない)。

最後の場面は、乳に関係なく美しくとても上手い女優さんだなあと思った。

--

映像、俳優ともに個人的にはとてもツボだった本作。

台詞のひとつひとつも、どこを切り取っても詩になるようなカッコよさ。
欲を言えば、もしこれが英語ではなくドイツ語だったら、もっと硬いゴツゴツした言葉の響きで印象も変わっていたのかなー、ドイツ語版があれば聴いてみたいなーと思った。(監督がカナダ人だし英語なのも至極当然なのだが…)

あともう一つちょっとした謎が。

フロイトは葉巻、ユングはパイプ、オットーは紙巻き煙草を吸っていたんだが、これは何かの暗喩なのだろうか?物知りの人がいたら教えてほしいと思った。

--

追記:こんな感想長々書いといて何だが、
この映画、別にユングとフロイトの伝記がしたかった訳ではなく、
心という目に見えないものを目に見える形にしようとした悲しさの話なんでないの?とも思う。

小二郎
小二郎さん / 2013年7月31日 / PCから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  萌える
  • 鑑賞方法:DVD/BD
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危険な香りがぷんぷん(∩´∀`)∩オォ♪ ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

心理学の基礎を築いたフロイトとユング

そしてその2人の理論をさらに発展させる切っ掛けとなったザビーナ女史

この3人の何とも危険な関係が映画からにじみ出てる(゚∀゚ ;)タラー

元々フロイトは何でもかんでも性衝動が根本の原因だという理論だが、それはどうだろうとユングは疑問に思ってた。

フロイトとユングが最初に面会した頃から、後に袂を分かつことは分かってた。

その切っ掛けが、ユングの所に担ぎ込まれた統合失調症の患者だったザビーナ。

まるで悪魔に憑りつかれたと思わんばかりの凄まじいヒステリー発作∑(゚ω゚ノ)ノ

ザビーナはユングの対話療法を受けていくに連れて、どんどん幼少時の体験を吐露する。

父親にぶたれ続けてて、それが大変興奮したとオォォー!!w(゚ロ゚)w

つまり性衝動を抑制し過ぎて発作を起こすようになったということね。

しかしこのキーラ・ナイトレイのヒステリー演技は素晴らしい!!!(=´∀`ノノ゙☆パチパチパチ

顏芸もさることながら、ぶたれて喘ぐあたりも((;゚д゚))ス、スゲェ

フロイトとユングは意気投合して、精神分析の分野で協力していくが、結局両者の出自や経済力の差、そして性格が災いして決別。

そしてヴァンサン・カッセル演じるオットー・グロースの「思うがままに快楽に身を委ねろ」という言葉を切っ掛けに愛人の関係にヘ(゚∀゚ヘ)アヒャ

しかしヴァンサン・カッセルは『ブラックスワン』でもそうだったけど、とにかくこういう「もうお前やっちまえよ~( ´_ゝ`)σ)Д`)ツンツン」っていう役柄多いな~(゚∀゚)アヒャ

そのうちどんどん深みにはまって行って、ザビーナはユングの子供を産みたいと言う。

ところがユングはもうこの関係はやめようと言うと「じゃあ私はフロイト先生の所に行きます!!」と言うヾ(゚Д゚ )ォィォィ

ユングの嫉妬心を煽ったり、具合が悪いふりをして誘惑したり・・・女ってこういうもんなんですよね~゚+。゚(・∀・)゚。+゚イイ!!

フロイトとユングが渡米する時に、ユングは奥さんが予約した一等船室にそそくさと行ったりするという無神経さΣ(゚д゚lll)ガーン

もうこれが決定打ですな(・∀・)ウン!!

とにかく精神分析という研究分野の危うさが、そこかしこからにじみ出てる印象ですな(;・∀・)

フロイトとユングの対話シーンで、2人の微妙な齟齬があってほんとに協力できるのか分からんという危うさ、ザビーナとユングの関係性の危うさ、そしてフロイトのリビドー理論の危うさ、さらにユングは決別した後に集団的無意識という独自の理論を打ち立ててオカルト世界にまで足を踏み入れていくという危うさ・・・

三者三様の「危険なメソッド」なわけですな。

フロイトも怒り狂ってぶっ倒れちまった後、ザビーナの統合失調症に関する論文を読んで、ワーグナーのワルキューレ、ジークフリートを持ち出してリビドーは実は自我を破壊しようとしているのだというザビーナの考えを示す。

これがフロイトのタナトス理論に影響を与えたとかスンゲェ──―Σ(゚∀゚ノ)ノ─―─ッ!

ユングは「境界を越えるべきでない」というフロイトの忠告を無視してオカルトにまで足を踏み入れるけど、これも結局ザビーナの関係から導き出された一種の結論ですな。

このザビーナ、実はとんでもないミューズであったことが良く分かるイイネ♪d('∀'o)

ラストでザビーナとユングが湖畔で語り合うシーンは実に泣かせる。・゚・(ノД`)・゚・。

この時ザビーナは別の男と結婚して子供を身ごもってる訳だけど、その子供が自分の子供だった可能性も無きにしも非ず・・・

色々と想像しながら涙する( ´Д⊂エーン

マイケル・ファスベンダーのユングとヴィゴ・モーテンセンのフロイトはほんとに生き写しみたいな感じでそっくりΣ(゚Д゚ノ)ノオオォッ

さらに風景やら部屋の調度品や置物、そして服装なんかもほんとに当時のドイツにタイムスリップしたかのような素晴らしさ(・∀・)イイ!!

知的で難しい映画だけど、その中にエロさとコミカルさ、そして下品さも含む秀逸な傑作です(゚∀゚)アヒャ

初台験
初台験さん / 2012年12月8日 / PCから投稿
  • 評価: 5.0
  • 印象:  泣ける 笑える 怖い
  • 鑑賞方法:映画館
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史実への好奇心が満たされない

冒頭のユングとザビーナの出会い。“談話療法”を始めるシーンが少し舞台っぽいと感じる。あとで分かったのだが、本作の元は舞台版だったということだ。

心に傷を持つ役が多いマイケル・ファスベンダーが、本作でも自分の患者であるザビーナへの思いが断ち切れず葛藤するユングを好演する。
また、幼い頃の体験が原因となる性的トラウマに悩むザビーナを、キーラ・ナイトレイが体当たりで演じる。
ユングの心がほかの女性に向かっていることを知りながらも、夫に愛情を注ぐ貞淑な妻エマのサラ・ガドンの品のある美しさもいい。
フロイトのヴィゴ・モーテンセンは一歩引いた演技で、ユングとザビーナに焦点を当てる。

ただ、ユングとフロイトの結びつきと決別、この二人へのザビーナによる影響を語る構成が曖昧で、史実がきっちり伝わってこない。とくにザビーナが精神分析学の道に進み卒業論文を書き始めるあたりからは描写が駆け足になり、やや腰砕けぎみになる。
中盤で、フロイトが自己の固定観念にとらわれた考え方なのに対し、ユングは自由な幅広い分析をして両者の間に溝が入り始める描写はある。だが、その決別に至る決定的な原因は何だったのか、そしてザビーナがどう絡んだのか、彼女が二人の偉大な学者に与えた学術的な影響も見えてこない。史実への好奇心が満たされない。
終盤は、ヴィゴ・モーテンセンをもっと前に引き出してもよかったのではないか。

マスター@だんだん
マスター@だんだんさん / 2012年12月2日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  悲しい 知的
  • 鑑賞方法:映画館
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危険な関係 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

 精神医学の礎を築いた二人の出会いと決別を描いた作品。クローネンバーグの作品にしてはとても内省的で落ち着いた映画だが、蓋を開ければ「危険なメソッド」は間違いなく彼の作品だと確信した。

 ユングとフロイトの出会いのシーンは非常に面白い。マイケル・ファスベンダー演じるユングは冷静沈着でいかにも「精神科医」だが、内にはあふれ出んばかりの情熱が潜んでいる。自分の中に潜む矛盾した二つの感情を必死で抑えつけようとしているのが目に見える。そしてフロイトに扮するヴィゴ・モーテンセン。とても博識で雄弁な人物だが、実は傲慢で自分がトップでないと気が済まない。それは裏を返せば、ユングに対する劣等感の表れでもある。様々なシーンで彼が時折見せる表情は、彼が持つ”脆さ”である。二人とも役に完璧になりきっているから、丁寧な言葉でやり取りされる手紙の議論でさえも、手に汗握るものとなる。

 しかし、実際のところこの映画が主軸に置いているのは「ユングとフロイトの師弟対決」ではない。「ユングとその患者ザビーナの逢瀬」である。いや、これはこれで面白いのだがどうも物足りない。

 その理由の一つはザビーナ役のキーラ・ナイトレイの演技力が追いついていないことだ。初めの彼女が見せる演技は大げさ以外の何でもない。手を振るわせ、目を見張り、歯をむき出してとにかく暴れる。冷静なユングとのギャップのせいで、彼女の演技はパロディにしか見えない。だがその後がもっと良くない。”大げさな演技”は影を潜めるが、今度は繊細すぎて、ただでさえスローペースな映画の展開をさらに遅くする。映画の中で数年は経っているのだが、彼らの間柄はいつまで経っても微妙なまま。関係を持ってからは、むき出しのマゾヒズムに初めは驚くがそれさえもマンネリ化する。ユングとフロイトの方はあっさり終わるのに、だ。

 上手く描けているのは明らかにユングとフロイトの方だ。思い出すシーンもほとんどが彼らが対話する場面ばかり。精神科医が分析を進めるうちに、自分自身が分析され、新たな自己を見いだす。このコンセプトは悪くないのだが、いつまで経っても学生にしか見えないザビーナは味付け程度にしておくべきだった。もし”このザビーナ”ももう少しカリスマ性があれば「精神学者の三つ巴の戦い」が成立したかもしれない。
(2012年11月18日鑑賞)

キューブ
キューブさん / 2012年11月25日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  知的 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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想定外

予備知識も何もなく、ただ「フロイトとユングの話」というだけで面白そうだなと思い見に行ったので、こんな話だとは思いもよらず。
というか、自身が全然この二人のことを知らなかったのがそもそもの間違いなのですが…

最初、患者としてやってくる医師志望のザビーナを焦点にして二人の関係を描いた本作。
そして、心理学者ユングの乱れた関係。ユングとフロイトの蜜月と確執。
史実に基づきながら、おそらくはグレーな部分を解釈で補っている。
さらに、ザビーナ役の役者の体当たりな演技がいい。

絶賛という訳ではないですが、一件の価値アリだと思います。

はち公
はち公さん / 2012年11月23日 / PCから投稿
  • 評価: 3.5
  • 印象:  知的 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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「壁」からの連想に「花」と答える人。 ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

現代心理学の祖、フロイトとユングの友情と決別を1人の女性を核として描く、実話に基づいた人間ドラマ。暴力とエロスを前面に押し出すことなく(それらは深層心理の中にある)、上品な会話劇として仕上げたクローネンバーグ監督の新境地。
本作の主な登場人物はフロイトとユング、そしてユングの元に患者としてやってきて、後に愛人となる、女性心理学者の先駆者であるザビーナ。この奇妙な三角関係(肉体ではなく精神面での)が物語の主軸だが、私は敢えて脇役であるユング夫人エンマにスポットを当てたい。冒頭に登場する彼女は、滑らかなシルクのマタニティ・ドレス姿だ。ベッドでまどろむ姿は、愛する人の子供を宿した幸福感に包まれている。しかし次に、「自由連想」という夫の実験での被験者として登場する彼女は、心の奥底に不安を抱えていることが判ってくる。男であるユングには解らなかったが、「妊娠したため夫を失うことを恐れている」と、同性であるザビーナは見抜く。産まれた子供が女の子であったために夫に「男の子を産んであげられなくてごめんなさい。」と謝る彼女の心のしこりが、何とも切ない。
ザビーナとエンマは全く対照的だ。幼い頃父から受けた折檻によって、ぶたれることに快感を覚えてしまったザビーナは、ユングによる「対話療法」によって、自分の性癖を暴露することで、彼に心を開いていく。女性が性について口にすることなど考えられなかった時代、彼女は持ち前の知性と行動力により、新しい女性像を築いていく。それに比べエンマは控えめで保守的だ。夫に愛人がいようと黙って耐える(それでも匿名の手紙を出して夫と愛人の仲を裂こうとする策士な部分もある)。裕福な彼女は、夫の欲しがっていた赤い帆のヨットをプレゼントして気をひこうとする。しかしそのヨットで夫は愛人と逢瀬を重ねる。余談だが、フロイトとユングの不協和音の1つに、エンマが裕福だということがあると思う。子沢山のフロイトが、家計に苦労しているのを察せず、ユングは悪びれることもなく「妻が裕福なので」と口走る。その瞬間フロイトにわずかな妬みが生まれたのは間違いあるまい。
ザビーナもおよそ裕福とは言えない暮らし向きだ。エンマは高級なレースのドレスを身にまとって登場するが、ザビーナは何年も同じバッグや帽子を使っている。それでもザビーナはフロイトのように自分の貧しさを卑しく思わない。そんなザビーナの不屈のパワーに、ユングは惹かれたに違いないのだけれど・・・。ザビーナと交わすライトSMチックなセックスも含めてユングにとって彼女は刺激的な存在だ。だがその刺激はとうてい長く接していられない。フロイトと決別するとほぼ同時にザビーナとも別れたユングは、半分魂の抜けたような状態に陥る。エンマはそんな夫のために、誰あろうザビーナに夫の力になってくれるように頼むのである。フロイトを失うのと、ザビーナを失うのと、エンマを失うのと、ユングにとっていったいどれが一番の痛手だろう?エンマがユングを支え続け、この後彼がフロイトを凌ぐ心理学者として成長したことを思うと、おのずと答えは1つだろう。
妻と元愛人の対峙シーンが印象的だ。高価なボーンチャイナの茶器でお茶を淹れるエンマ。受けるザビーナはロシア人医師と結婚しており妊娠中だ。精神病患者として登場したザビーナは、今や児童心理学者として自立しており、さらに妊娠によって穏やかで満ち足りているようだ。エンマの妊娠から始まって、ザビーナの妊娠で終わるこの物語は、ユングとフロイトという偉大な心理学者の出会いと別れを描きつつ、エンマとザビーナという正反対の女性の、それぞれの“自立”(アプローチは違うけれど)を描いた物語でもある。
情熱的なザビーナは魅力的だが、「自由連想」で「壁」という言葉に対して「花」と返したエンマの細やかな優しさを、私は女性として尊敬する。

Chemy
Chemyさん / 2012年11月21日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  -
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スパンキング… ネタバレ

※本文にネタバレがあります。 [ ▼クリックして本文を読む ]

のっけから、あごを突き出して顔をゆがめる美人に怖くなりつつ観ていたけれど、眠ってしまい、意識が戻ったら、ユングが美人をスパンキング…フロイトともうひとり、呟いていた彼は誰だったんだろうと思ったら、餓死とエンディングで紹介されていた。裕福な妻を持ったユングと6人の子持ちのフロイトが対立、手紙の往信で亀裂を深めていったことと、最後まで生きて権威を確立したのはユングだったというところか。好きな役者が揃っていたのに、テンポが合わなかったのか、楽しめなかった。

あんみつ
あんみつさん / 2012年11月14日 / フィーチャーフォンから投稿
  • 評価: 2.0
  • 印象:  知的
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興奮しないっす。

デンジャラス・メソッド。原題のほうが全然かっこいいのに。
キャスト豪華。予告編とは違います。思いのほかぽんぽん時代が飛ぶので盛り上がりに欠ける。
というか、そういうドラマではなかった。かといって、そんなご大層な話でもないので何を楽しんでいいかわからなくなる。フロイトとユングとサビーナ、どう考えてももっときりきりするドラマになりそうだけどシラ~とペンをとる、手紙を広げる、ペンをとる、ナレーション、船に乗る。。とエモーショナルになることはなく静かな構成です。当然ながら、そんな流れでケツをひっぱたいてるあたり繋がりのいくつかは笑ってしまうんだけど、まあ笑いの映画でもないしね。
ジェレミートーマス、アートで世界を揺さぶるようなの届けてよ!

ONI
ONIさん / 2012年11月11日 / PCから投稿
  • 評価: 2.0
  • 印象:  知的
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深層心理

フロイトとユング、心理学を創設したふたり。
それに、のちに心理学者になったロシアの女性患者ザビーナ。
この3人の心理劇ともいえる作品だ。

バイオレンスが主体だったクローネンバーグ監督の新境地である。

フロイトは、幼少の頃のトラウマが成長とともに、リビドーとなって噴出するというような無意識世界を唱え心理学の第一人者になった。

ユングは、その教え子であって、後継者と目されていたのだが、
だんだん、その教えの枠だけでは捉えられない現象をみるようになる。
もっと、人間には深いところに左右されるものがあるのだ。

どちらが人間の心理の古層に迫っていったか?

僕はユングのほうを支持したいと思っているのだが、
この映画でのユングは、あまり魅力的には映らなかったのが残念だった。

ザビーナを演じたキーラ・ナイトレイはどこか、
エキセントリックなところを内包した女優だと思っていた。
だから、この逼迫した表情のロシア娘によく合っていた。ただ、こういった尋常ならぬ役を演じるのは彼女にとっても勇気がいるのではないか。
ひとつのステップとして拍手を送りたい。

いづれにしても、意欲的な作品であることに間違いないだろう。

xtc4241
xtc4241さん / 2012年10月29日 / PCから投稿
  • 評価: 4.0
  • 印象:  怖い 知的
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チョット寝こけてしまいました…

ユングとフロイトとザビーナの物語。
精神分析学の草創期の話をベース3人の人間関係が描かれます。
クローネンバーグの作品は、なんと昔のヴィデオドローム以来の鑑賞。
いやぁ〜…僕には高尚すぎてよくわからんかった…。
キーラナイトレイのオープニングからのヒステリー演技に‘すごい!’と思いつつ、そのあと少し眠りについちゃいまいた…。お隣のカップルの男性もコクコク首前後してました…。
ユングやフロイト、はたまたザビーナまでがそれぞれに影響され、利用しあいこの専門学を突き詰めそれぞれ一流の学者になっていく。そこにそれぞれの泥臭い人間関係を描いているんですが…
会話が知的すぎ?てなんかわからなくなってくるんですよね…。
キーラナイトレイのこの演技見れたのは感動でした。

peanuts
peanutsさん / 2012年10月28日 / PCから投稿
  • 評価: 3.0
  • 印象:  知的 難しい
  • 鑑賞方法:映画館
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