劇場公開日 2013年6月14日

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「74年版より好きだ」華麗なるギャツビー マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

4.074年版より好きだ

2013年6月21日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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寝られる

1974年にロバート・レッドフォード主演で映画化されて有名だが、ギャツビーと上流階級の女性・デイジーとのロマンス、そしてそれにまつわる愛憎劇が絡み、大富豪ギャツビーの正体と目的が徐々に明かされていくミステリアスなストーリーと脚本がよくできた作品だった。今回も99%同じ内容だ。

観る前はこのドラマを3Dにする意味があるのか?と思っていたが、大邸宅の奥行やパーティの臨場感が素晴らしく、独特のしゃがれた低音が鳴り響く音楽と相まって豪華絢爛さが際立つ。洗練されたセットや小道具と衣装、さらに最新の映像技術で創り上げられた世界によって、ギャツビーの華麗なる仮面の引き剥がし甲斐が存分に出る。
ただ、冒頭の短いカット割りの連続とズームの多用は、映画が始まったばかりでまだ目が慣れていないこともあり、大きなスクリーンや前寄りの席では少しキツい。

今回の大きな目玉はキャスティングだ。
74年版も当時の人気俳優を使って話題をさらったが、今回の出演者のほうが総じて線が太い。
ディカプリオの優雅さと荒々しさを演じ分けるギャツビーはもちろんだが、キャリー・マリガンが甘味な恋のなかに女の辛さを滲み出させ、ギャツビーを憎悪するブキャナンのジョエル・エドガートンも上流階級の威厳と傲慢さを放ち風貌が安っぽくない。女性ゴルファー、ジョーダンのエリザベス・デビッキと、整備工場主の妻、マートルのアイラ・フィッシャーは対照的な美しさで魅せる。

そしてなんといってもトビー・マグワイアだ。
マグワイアが演じるのはギャツビーの隣人であり、この映画の語り部でもあるのだが、74年版よりもいっそう存在感が増し、受動的一辺倒でないところが大きい。
打算のないギャツビーに上流階級の人間とは違う魅力を感じ、徐々に彼の内面に惹かれて行くニックをマグワイアは前に出過ぎず後ろにも引かずに表現する。ギャツビーと対等といってもいい立ち位置を確保するあたり、巧い。
一途に一人の女性を愛する男のやり場のない哀しいラストが、このニックによってやや報われ溜飲が下がる。これが、たかが1%されど1%の(74年版との)違いだ。全篇を通して今作のほうが好きだ。

マスター@だんだん