劇場公開日 2012年5月26日

「今年上半期・・・代表的、傑作?」ガール ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0今年上半期・・・代表的、傑作?

2012年5月27日
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鑑賞方法:映画館

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「半分の月がのぼる夜」「神様のカルテ」などの作品で知られる深川栄洋監督が、「深呼吸の必要」の香里奈、「モテキ」の麻生久美子などを主演に迎えて描く、女性に送るビタミン映画。

一発で、ノックアウトである。今をときめく、人気女優陣を豪華に持ちこんだキャスト陣、ラメラメ光線炸裂のビジュアル、そして某テレビ局の強引なプロモーション。傍目から見れば、「自分探し」「女優の顔ドアップで許してね」といった体の、生ぬるい群像劇を容易に想像してしまう。

しかし、いざ入口のドアを開けてみれば・・これは、どうしたことか。「女は強し」のありきたりなキャッチフレーズを軽やかに覆す、爽快な女性活劇映画としての力強さ、美しさに溢れているではないか!

「60歳のラブレター」や「神様のカルテ」などで、様々な立場にある人間の有様をバランス良く繋ぎ合わせる群像劇の手腕の高さを見せつけてきた深川監督。本作でもそれぞれに個性、持ち味の異なる女優陣を過不足なく、良い感じの塩梅で表現してみせた。

派手な雰囲気が魅力の香里奈、凛とした格好よさが持ち味の麻生という両極端のベクトルを物語の軸に置きながら、決して滲まないストーリーの色。2時間の尺を無駄なく活かし、作り上げる建築のように精緻な配分、成分。

「やっぱり、生まれ変わっても女性が良い」そんなシンプルなメッセージは万人共通、クールなあなたにも、キュートなあなたにも!群像劇という一つのテーマを打ち出すのには難解な作りの作品でこの荒業を成し遂げるとは・・・恐るべしである。

あくまでも「女性映画」という基本コンセプトを十分に理解した脇を固める男性陣もまた、良心的。向井理、上地佑輔、要潤、林遣都・・・目の眩むようなキラキラ俳優陣が、これまた男の弱さ、可愛さ満点でストーリーを彩る。特筆すべきは、やはりの、流石の向井様。その顔で「お前が頑張っているのは、分かっているよ」なんて笑顔で言いやがって・・・まさに現代の王子様そのままである。か、格好よい。

スウィートなラブ、ちょいとシリアスなサスペンス、そして素敵な未来への希望。てんこ盛りの娯楽映画ながら、端正な作り手のセンスを、今回もまざまざと見せつけてくれる上質の一本。カップルで、家族で、男一人で、どんなシチュエーションでも楽しめる、今年上半期に掲げたい代表作になりそうだ。

ダックス奮闘{ふんとう}