劇場公開日 2012年10月6日

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「古風なヤクザ・大友のケジメ」アウトレイジ ビヨンド マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5古風なヤクザ・大友のケジメ

2012年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

口を開けば「バカヤロー!!」「やれねーのか!!」「やってやろーじゃねーか!!」の連発でコメディーかと思えた前作に比べると少し知的な内容になった。
いわば前作は意地の張り合いで、今回は謀略の張り合いがテーマ。

刑事の片岡(小日向文世)が関東最大の山王会と関西の花菱会を衝突させようと画策する。このぐらいのこズルさを、日本の外交でも発揮して欲しいものだと思って観てしまう。
前作で一番悪い奴は、まんまと山王会の会長にのし上がった加藤(三浦友和)だったが、今作で一番のワルはこのマル暴・片岡だ。片岡の陰謀は際限がなく無差別で、獄中にいた大友(北野武)の足元にまで及ぶ。

前作で賢く立ちまわって山王会の若頭の座を手に入れた石原ののさばり方がいい。ある意味、今回の紛争の火種的存在で、敵からも身内からも、そして映画を観る客からも嫌われる役どころだが、加瀬亮が上手い。

ほかにも役者は多いが、それぞれの役割がはっきりしていて、ごった煮にならずにすんでいる。

バイオレンス描写は前回同様、ことさら過激だと吹聴するほどのものではない。むしろ、それに見合った色気が不足と感じる。前作の椎名桔平のような役者が出てこないのだから無理もない。今回は元宝塚の月船さららが背中の刺青を見せるぐらいだ。

大友が銃を向ける花菱会の中田(塩見三省)に向かって「さっさとやれ!!」と叫ぶ裏には、ここで死んだほうがずっと楽なんだという思いがあったに違いない。
利用されるのを拒みながらも義理を立てる時代遅れのヤクザ・大友の悲哀が出ているところが、前作のデキを上回った要因といえるだろう。

マスター@だんだん