劇場公開日 2011年5月14日

「羅針盤が指し示す少女たちの友情」少女たちの羅針盤 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0羅針盤が指し示す少女たちの友情

2013年2月9日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

萌える

成海璃子、忽那汐里、森田彩華、草刈麻有、4人の若手女優がフレッシュに共演。
「Wの悲劇」と「金田一少年の事件簿」を合わせたような青春ミステリーの佳作。

新進女優の舞利亜はネットシネマ撮影の為故郷に戻って来る。その内容は、忌まわしい4年前の事件を思い出させるものだった。
瑠美、蘭、梨里子、かなめの4人は伝説と言われた女子高生劇団“羅針盤”のメンバー。しかし、メンバーの一人の死によって解散していた。
事件の真相を知っている舞利亜は“羅針盤”のメンバーだったという。誰かが自分を陥れようとしている…?

ラストまで顔が分からない舞利亜。舞利亜は4人の内、誰…?
誰が誰を殺した…?
ただの犯人探しとは違うミステリーに引き込まれる。

ミステリーよりもっと引き込まれるのは、4人の少女の青春ドラマ。
芝居への情熱が人一倍強く度々暴走する瑠美。
複雑な家庭環境を持つ別高校の蘭。
自分自身に違和感を感じ腕にリストカットの傷が残る梨里子。
有名人の姉を持ちいじめを受けた過去があるかなめ。
それぞれ秘めた悩みと背景があるが、劇団と芝居へのひたむきで熱い思いは同じ。
衣装も舞台も照明も自分たちの手作り。劇もオリジナル。額に汗して稽古する。
勿論、対立する事だってある。すれ違う事だってある。多感な女の子なのだから。
路上で劇を披露し続け、そして遂に舞台に立つ。
その時の4人の実に光り輝いている姿と言ったら!
また、この劇中劇は4人の若手女優の迫真の演技も相まって一番のハイライトと言えよう。
メンバーの一人の将来が花開く。応援するメンバー。が、その矢先…。
愛憎が生まれていた。思わぬ所から。

少女たちの夢を突然断ち切った悲劇。
死んだ友の為、自分たちで犯人を追い詰める。
羅針盤は方角を指し示していた。変わる事の無い友情という方角を。

この瑞々しい青春と悲しいミステリーの絶妙なバランス加減、好きだ。

近大