恋の罪 : 映画評論・批評

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恋の罪

劇場公開日 2011年11月12日
2011年11月8日更新 2011年11月12日よりテアトル新宿ほかにてロードショー

性を解き放ち、生をまさぐる女たちのダークファンタジー

女優の身体が放つパトスが、男性の支配願望を打ち砕き、映画の枠組みさえ壊していく。デフォルメして描かれるのは、畏怖すべき女性性の謎であり、はかり知れぬ女の業を仰ぎ見るオール・アバウト・マイ・ミューズともいえる女性讃歌だ。

心身ともに渇ききった女刑事の視点で分け入る、猟奇殺人の闇。動機をめぐる殺人ミステリーの類いではない。居場所を求めて堕ちていく若きセレブ妻が、とことん堕ちきって境地に達した女助教授に師事し、身体ひとつで社会の裏側に潜行する、ダークファンタジーの様相さえ呈してくる。

性を解き放ち、生をまさぐる。自己の存在意義を求める女たちの彷徨が凄まじい。貞淑から貪欲へと変貌する神楽坂恵。屈折と狂気を撒き散らす冨樫真。肢体はさらされ、行為は繰り返されるのに、エロスは微塵も感じさせない。それは円山町という名のリングで、痛みを覚えながらファイトマネーを得て、生きている証をつかみとる格闘技に等しいからだろう。

日本映画の規格からはみ出した園子温が、スクリーンにぶちまける肉体の饗宴。保守的な者が本作に、過剰や観念的という言葉を当てて否定するのはたやすい。殻を内側から突き破る、その破壊の強烈なエネルギーの放出は、浴びる者を選ぶのかもしれない。「冷たい熱帯魚」が去勢された男の過激な矯正を嗤う残酷な劇画ならば、「恋の罪」はマグマを溜め込んだ女性の深層崩壊を讃える閉塞社会の寓話である。

清水節

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