津軽百年食堂

劇場公開日:

解説

東京で暮らす青年・大森陽一が、さまざまな葛藤(かっとう)を乗り越え、青森県弘前市で100年続く老舗食堂を継ぎ、4代目店主となるまでを描くヒューマンドラマ。現代の陽一の姿とともに、明治時代の初代店主・賢治の人生が重ねられていく。お笑いコンビ「オリエンタルラジオ」の藤森慎吾と中田敦彦が、それぞれ陽一と賢治を好演。森沢明夫の同名小説を、「恋する女たち」「わが心の銀河鉄道 宮沢賢治物語」の大森一樹監督が映画化した。

2011年製作/日本
配給:日活、リベロ
劇場公開日:2011年4月2日

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(C)2011「津軽百年食堂」製作委員会

映画レビュー

3.0津軽そば

2023年7月17日
PCから投稿

そばといえばどこですか。

そばは食道楽にとって定義されやすい食べ物です。

そば通の数だけ一家言があるでしょう。

それゆえ見識を述べると「ちがうぞ、なに言ってやがるんだ」とおこられてしまうかもしれませんが、個人的な認識ではそばは戸隠だろうと思います。

そばの名物化はそば畑の所在と対であり、救荒食物だったことからも、そこは米麦に適さない山間地域であろうと思われます。よって、概して山の食べ物であろう──というのがわたしの見識です。

ところがそばは日本全国にあり、各地で名物を謳っています。
海辺にもあり、つなぎに海藻をつかっている──などと海の特有性を売りにしています。

本作で出てくる津軽そばも出汁に鰯の焼き干しを使っていることが評判のそばです。

それらを見ると、つなぎや出汁はともかく、肝心のそば粉はどうしているんだ──と疑念を持ってしまいます。そばでいちばん重要な材料はそばではないでしょうか。

ただし、わたしはそば通ではないので「そばはこうでなきゃならん」というのはありません。小麦が八割の乾麺でもよろこんでいただきます。茹ですぎて余ったそばでもコロッケにしようとか汁物に紛れ込ませようとか──どうにでも打開策をして食べるでしょう。

そうはいっても津軽そばは不思議な食べ物でした。

青森県観光課が運営するウェブサイトまるごと青森には津軽そばについて以下の記述があります。

『挽きたて、打ちたて、茹でたての三たてがおいしいと言われる蕎麦ですが、津軽にはそうでない蕎麦があります。江戸時代に生まれたと伝わる「津軽そば」です。(以下略)』

概説によると、大豆をすりつぶした「呉汁」をそばがきに混ぜて生地をつくり、それを寝かせて熟成させます。さらに、製麺し茹でてから日持ちを良くするために「煮置き(茹でた麺を冷やす)」ということをするのだそうです。
結果、箸で持ち上げるとちぎれてしまうほど柔らかいコシのないそば、津軽そばができあがります。

コシ偏重の現代にわざわざのびた(コシをとってしまう)仕上げをすることに加えて、温そばのみの仕様も大きな特長です。
一般にそばといえば、もりやざる──すなわち冷そばのことを指すと思います。
温そばをつくるにしても茹でたそばをいったん氷水でしめる行程は外しません。それがコシをつくり、ぬめりをとるからです。

ところが津軽そばは「煮置き」をして一般的なそばの基本事項を度外視してしまうのです。不思議な食べ物ですよね。

いったん断っておきたいのですが、わたしは津軽そばを邪道視しているわけではありません。とんでもない。わたしは芯のなくなったパスタも、煮込みすぎたぼろぼろの鍋底麺も喜んでいただきます。

ついでの個人的な憶測ですが、そばのコシを気にするひとほど低能です。コシ偏重の時代だからこそ言うべきだと思いますが、コシがないコシがないと連呼するひとに「おまえうるせえから乾麺ボリボリ噛んどけよ」と言ってやりましょう。ふつうに考えて、コシを最重要課題にしたいなら茹でなきゃいいんですよ。

いうまでもないことですがコシを形成するのはグルテンです。したがって元来そばを食べてコシがないとかいうひとはあほです。小麦麺に比べて“はもろい”のがそばです。

逆に言うと、そんな“はもろい”そばだから、本作にあるように“さくらまつり”への屋台出店ができたのです。

そば通ならば「そばの屋台出店なんて、いったいどうやるんだ」と思ったはずです。それを解決するのが厨房設備がいらない津軽そばでした。

見たところばんじゅうに並んだ麺をサッと湯がくだけで簡単に提供しています。これなら水道設備も火器も簡易なものだけで屋台営業が成り立ちます。

──というわけで津軽百年食堂はなんてことない映画でしたが「妙なそば」の存在でけっこう記憶に残っているのです。

オリエンタルラジオのふたりが出演していることも希少でした。
それぞれ躍進し今やすっかり成功者ですが、オリラジを見るにつけ思うのは、ふたりとも顔がいいこと。

とくに藤森慎吾は美男で、お笑い芸人をあまり知らないわたしは当時この主役を演じているひとは誰だろうと思いながら見ていた記憶があります。

他の出演者ではちすんがいい感じでした。(現在(2023)は智順という表記になっています。)職人気質の頑固父親が伊武雅刀。福田沙紀、野村宏伸、藤吉久美子、大杉漣も出ていました。

大森食堂をおとずれたサラリーマン客が「こんなのそばって言わねえぞ、東京じゃこんなの食えない」と文句をいう場面があります。
それに対して陽一(藤森慎吾)は「これが津軽伝統のそばなんです。東京のとは別物と思ってもらえませんか」と言い返します。

温かいほろほろのそばは海からくる空っ風にさらされた津軽っ子のからだを温めたにちがいありません。
所変われば品変わる──という話です。
ならば「そばはこうでなきゃならん」とそばを定義するそば通は偏屈でしかありません。いずれにせよ食べ物にたいして鷹揚でありたいものです。

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津次郎

2.0津軽そば

2023年3月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
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odeonza

2.5確かに中途半端

2018年10月26日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

あっちゃんと藤森ダブル主演の映画、藤森君は現代パートでチャラ男キャラは封印してバルーンアート職人になっています。バルーンアートを勉強したんだなと感じました。あっちゃんは明治パートでなんか違和感あったなと思います。明治パートはモノクロかセピアにして欲しかったかな。まあ本編は悪くもなく良くもないって感じでした。色々と中途半端、説明がない感じです。

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ジョバンニ

2.5俳優オリラジ、なかなかうぃ〜ね〜!

2012年10月31日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

単純

幸せ

青森県弘前市を舞台に、父の入院をきっかけに実家の老舗食堂を継ぐ事になった若者の奮闘劇を、百年前の初代店主の姿と交互させて描く人情ドラマ。

オリエンタルラジオが映画初主演。
跡を継ぐ現代の4代目店主を藤森慎吾、初代店主を中田敦彦が演じる。
実質主人公の藤森が普段の“チャラ男キャラ”を封印してしっかり役者し、中田も明治男の雰囲気を出している。

これ見よがしに青森の名所が登場し、青森のご当地映画と言ってしまえばそれまでの事だが、根底にあるのが伝統と家族の物語。

父と喧嘩し実家を飛び出して東京でバルーンアートの職に就くも、同居女性に実家仕込みの津軽蕎麦を振る舞ったりと、実家への思いは強い。
戻って来て父と度々衝突しながらも、さくら祭で実家伝統の味を披露する。

その源は、初代店主から受け継いで来た伝統。
戦争の貧しい時代、腹を空かせた人々に振る舞った蕎麦の味。

公開直前にあの未曽有の震災に見舞われ、温かな作風が奇しくも復興エールに繋がった。

美味しい蕎麦が食べたい。

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近大
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