劇場公開日 2013年1月19日

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「いい出来だが、小津のことも考えると...」東京家族 レインオさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0いい出来だが、小津のことも考えると...

2016年8月14日
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4点にしたのは、とてもよい映画ができたからだ。
とても感動的で、何の不協和音もなくできていると思う。

しかし、『東京物語』を見てから見ると。。。。
先入観でなんとなく違和感が出てくる。リメークじゃないけど、ストーリーはほぼ同じ、セリフにも似ているのがよく出てるという点で考えると..ちょっと中途半端な感じはした。

この映画は現代版の『東京物語』でもあって、山田的な解釈も当然あり得るが、セリフ上に最初のとこ、敬語がいっぱいで、なんとなく現代と昭和のはさまになってしまったーって感じ。まさか小津への模倣で逆効果になったんじゃないか。その一方で後半で紀子は富子にタメ口ばっかりでめっちゃ気になる!!!

もし現代版のなったらセリフは『東京物語』とそんなに似てなくてもいいと思う。似すぎて変だし、あとのタメ口もどうも唐突!

構図について山田監督も非対称な小津調を意識しているだろう。なんとなく小津っぽく感じた。だが、現代の背景の下、色合いも、外の景色も全く違うものになったため、屋内の畳部屋はなんとなく変だし、移動撮影も幾つかあってやっぱり違うかなーと思った。それで、元々時空間転換で用いられた都市の風景も多く描かれ、動的な表象になったのは、まさに山田的な現代都市に対する捉え方になったからだ、言い分もない~

結果的に言うと、見終わってやっぱり小津とは違うなあーと思う!
小津の映画には周吉はそんなに感情的ではなかった、東京は広いもんだけど、小津が描いているのは、現代化の中における親子の間の溝ではない。この映画には、老夫婦と東京との対立が強く感じられる。
小津の映画を見て泣くのではなく、観客に深く考えさせるのに対し、この映画を見たら悲しく泣いちゃう。

もし現代版だったら、とにかくセリフにもっと工夫して欲しい!他の面には本当によくできてる。
昌二のところが本当に好き、、、物語上にとても巧みに小津の紀子と違う紀子を作った!

レイン