劇場公開日 2010年4月17日

  • 予告編を見る

「生々しいストーリーと展開」ジョニー・マッド・ドッグ 太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0生々しいストーリーと展開

2014年8月12日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

怖い

知的

テレビ番組で特集をしていたのを観て、レンタルして観賞。

演じる少年兵は、なんと実際に少年兵の経験がある子供達である。
また、演じる役者としては素人の子供達の演技も伊達ではない。
たとえ経験者が出演しても演技力がなければ生々しさは半減する。しかし、この点はしっかりとクリアできていて、安心して観られる。

はっきりとしたストーリーというものは無く、どちらかというとテーマを重視している。
戦争が終わった後には何か報酬があると信じる少年兵達や、戦争に巻き込まれたある姉弟。この二組がメインとなるのだが、二組それぞれ別の視点から描き、絡み合う展開はとても良かった。

そして今作の作風には娯楽作のような優しい表現は無い。
戦争に染まり、あえて目立つ服装になり、人殺しやレイプを誇りに思う。これらはすべて事実らしい。
これらによって、ハリウッド映画やゲームのようなドンパチではなく、 本物にかなり近い戦争を描くことができているのがこの映画の最大の良さだと思う。

戦争は理不尽。
戦争が終われば何が残るのか。
少年兵達が大人になったとき、彼らはどう生きていけばよいのか。
誰も救われない戦争、戦争は今の世の中では避けられない。
しかし、だからと言って子供達の将来を奪う理由など無い。彼らには武力や暴力、権力で戦うのではなく、もっと別のやりかたで戦い、自由で平等な世の中を作っていく必要がある
そんなメッセージをしっかりときれいに伝えてくる。そんな映画だった。

太郎