劇場公開日 2010年12月4日

  • 予告編を見る

「ホラー映画が、かわいく見えちゃうほどの寒気」白いリボン septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0ホラー映画が、かわいく見えちゃうほどの寒気

2011年8月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

寝られる

重いというよりも、
気味が悪いんですけど。。。
エンドロールが流れ始めて寒気しちゃったよ。。。

一言、
不気味以外の何物でもありませんでした。

余程、
ホラー映画のほうが怖くありません。

恐怖の対象が、
不明確なため、想像の中で、
負の妄想が、はち切れんばかりに
膨らんでしまいますので、精神衛生上も好ましくない。

“人間不信”

自分が人間でありながらも、
自分以外の人間を虐げる。ある意味、
自分が自分自身を特別扱いしてしまう。
もっと極端に言ってしまえば神格化してしまう。

生活環境の世界が狭く、
且つ田舎の村で孤立をしているため吐け口がない。

だから、一般的に見れば、
“悪”とされることをしてしまう。

さらに、性質が悪いのは、
“悪”と認識しながらも、当事者は、
“自分が悪を犯すのは赦されている(当たり前)”と自己肯定をしていること。

そんな、子供たちを、
大人は、せっかんをするだけで取り繕うとし、
大人の、都合のいいように子供たちを取り扱ってしまう。

まさに“負の連鎖”。
しかし、これもまた、
その大人は、それが“負の連鎖”を生んでいることに気づいていない。

◇   ◇

ここまでの感想は、
今作を鑑賞した上での、
自分なりの解釈も含まれています。

今作、ヒントっぽいものはありますが、
解答は一切提示されませんし、説明セリフなどという、
愚かしいものは、登場する気配すら感じさせてくれません。

だから、導入部にあたる序盤は、
色彩が、モノクロなのも手伝って、
気を抜くと、睡魔に飲み込まれてしまいます。

実際、お隣の女性、序盤気持ちいい寝息を立てていました。
しかし、終盤は、それとは対称的に口元をハンカチで抑え、
まるで、怯えるように、スクリーンを凝視しておりました。
無音の、エンドロールが流れ終え、客電が点灯したあとも、
しばらく、座席に座ったままでした。

“人の闇”っていうのかな。
色彩が、モノクロなだけに、
白と黒しかありませんから、闇が一層際立つんですよ。

幕引きも恐怖以外の何物でもないです。
私も、絶対に、こんな村は出て行きます。
そして、二度と、近寄ることはないでしょう。

★彡     ★彡

今作は、あくまでフィクションの位置づけですが、
現実世界に起きても、全くおかしくはないと思っています。
だから、余計に、薄気味悪くて、ゾッとしてしまうんです。

“白いリボン”
白は純粋、純潔の表れとも言いますが、
リボンが、結ばれた人間の中には、真っ黒な、
どす黒い、恨みつらみ、憎しみの色しか見えませんでした。

演出巧み。
役者もメインの1人、
学校教師は映画初出演とは信じられない好演。
子供たちも、まるでドキュメンタリーのような生々しさです。

カンヌのパルムドール作品だから、と
軽い気持ちで来ると、爆睡するか、精神的に
やられる可能性があります。コンディションを、
整えた上での鑑賞を推奨させていただきます!!

septaka