劇場公開日 2010年6月5日

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シーサイドモーテル : インタビュー

2010年6月4日更新
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謙虚な姿勢がぶれない麻生久美子に死角なし

哀川翔の初監督作(あいかわ翔名義)となった「BAD GUY BEACH」(1995)で銀幕デビューを果たし、第22回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞に輝いた故今村昌平監督の「カンゾー先生」から12年。50本以上の映画出演を経て、麻生久美子は「シーサイドモーテル」を最新作に選んだ。女優として着実にステップアップを続ける麻生が今、何を思っているのかに迫った。(取材・文:編集部、写真:堀弥生)

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岡田ユキオの人気漫画「MOTEL」を映画化した同作は、山奥のさびれたモーテルの4つの部屋を舞台に、一筋縄ではいかないワケありの男女11人がだまし合いを繰り広げるアンサンブル・ストーリーだ。三十路直前のコールガールのキャンディを演じた麻生は、生田斗真扮する原価200円の化粧品を売り歩くインチキセールスマンが仕事をさぼる103号室に部屋番号を間違えて入室。ほかの3室では、山田孝之、玉山鉄二、成海璃子、古田新太、小島聖、温水洋一ら主演級がハイテンションに盛り上げる。

麻生にとって、行定勲監督の「贅沢な骨」(01)でホテトル嬢を演じてはいるが、これだけ腹に一物抱えたコールガール役は新境地といえる。撮影を振り返り、「すごく楽しかったし、やりたいことはできました。私たちの部屋は大きな事件が起きるわけでもなく会話劇だと思うので、そういう部分をどう見せるかっていうのをやりたかったんです」と嬉々(きき)とした表情で話した。

■古田新太も「“おきゃん”な久美ちゃん、いいね~」と絶賛

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そんな麻生の演技を、共演シーンこそないものの古田は「“おきゃん”な久美ちゃん、いいね~!」と絶賛している。そのことを伝え聞いた麻生は、「お話をいただいたとき、古田さんが出るとうかがって『それだったら出たい!』という気持ちが大きかったんです。やっぱり一番面白くて、おいしいところを古田さんが持っていかれるんですよね。あの役どころ、大好きです」とケラケラと笑った。メガホンをとった守屋健太郎監督も麻生の大ファンを公言しており、製作陣や俳優からの人気が高いことも麻生の特徴といえる。

5月14日に大阪で行われた舞台挨拶で、麻生は生田とともにベッドシーンを単独で撮影したことを明かした。「そのことを言っちゃったからニュースの見出しが全部すごくて。やっぱり言わなければ良かったな」と苦笑い。問題の濡れ場についてだが、「監督からは『最後までいってくれ』ということ以外、具体的なことは何も言われなかったので困ったんですよ。もっと求められたほうが演じる側としては楽なんですけど、非常にやり辛かったですね」と語った。

■母親役も演じてみたい

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劇中、キャンディは生田演じる亀田に「このままアタシとどこかに逃げない?」とささやきかける。4桁の男性経験を誇るキャンディの本音はどこにあるのか。一瞬でも亀田に心が動いた理由は何だったのか。「自分をそういう(性的な)対象として見ていないというのが大きかったんじゃないですかね。したくないとも言われますし。そういうのって、意外と人を好きになるポイントとしては大きいのかなって思いました。お客さんとのいつも通りの関係じゃないところで会話が成立したのも彼女にとっては良かったのでしょうね」と分析した。

昨年は主演作「インスタント沼」や松山ケンイチと共演した「ウルトラミラクルラブストーリー」など話題作が相次ぎ、ここ2年間での出演作は13本にのぼる。それでも、麻生はデビュー時の謙虚さを忘れず、輝きは増すばかり。「今後は年齢も年齢ですし、母親とかこういう年だからこその役はやってみたいですね。今まで演じたことがない役であれば、チャレンジしてみたいな。私の想像力よりは、もっと面白い話があると信じているので、そういうお話をいただきたいですね」。10年後には不惑の40代へと突入しているが、麻生の頭の中には目の前の仕事をひとつひとつ丁寧に演じていくことしかないのかもしれない。「全然イメージが沸いてこないですね。女優を続けていられるかも分からない世界ですし。続けていたいですけどね。面白い展開になっていればいいなあ」

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