うわっ、すげぇ、行ききっちゃったよ
順撮りしたのかなぁ・・・・・これ???
この作品、あらすじにも
記載されてある通りラブストーリーです。
それなのに
「好きだ」「愛している」
セリフが一言もありません。
唇を重ね合わせるシーンもありません。
最後の最後に用意しているのかと思いきや、出てこず、
冒頭、感嘆の言葉になったわけです。たぶん、監督の
冒険的な試みだったのでしょうが、破綻することなく、
むしろ観客を惹きつける効果を生み出していました。拍手(パチパチ)!!
では、どうやってお互いに愛情表現をしたかというと、
まさに、本作品のメイン“社交ダンス”をフル活用。
英語のセリフとともに、メインの役者さんは習得に
かなり苦労をしたそうですが、ずばり社交ダンス。
男女の身体がかなり密接します。まず、これがひとつ。
ふたつめ。
社交ダンスは、身体全体の動きだけではなく、
つまさきから、手の指先、頭のてっぺんまで
審査対象になりますので、研ぎ澄まされた動きが必要とされます。
ゆえに、カメラも手の動きだけでなく、指先の動き、視線の動きまで細部にわたり映しきります。
つまり、お互いの身体の距離、
手の動き、指先の動き、スピード、
表情、目線の動き、瞳孔の開き具合で、
言葉にせずとも愛情が深まっていく様子を表現できるんですね。
順撮りかな?って思ったのは、
ユミ役のファン・ウォンさんが、恋をするにつれ、
ドンドン艶やかで美しく&艶かしくなって行くのです。
それは表情だけでなく全身から発せられるオーラまでもが。
だから、順撮りではなく、
これを、表現したのだとすると、
監督の演出力含め、凄まじい巧さだな、と驚嘆させられたのです。
◇ ◇
〈 目覚めのない夢 〉
〈 人生、最後は努力の差がでる 〉
〈 ダンスがあれば、つらいときも元気になれる 〉
貧しい農村に住む青年が幼少期に
社交ダンスに魅せられた夢を叶えるため
シンガポールのダンススクールへ旅たつ。
そこには運命の女性との出会いが待っていた。
大まかなストーリーは
上記のような感じになります。
テーマは“夢”。
そこに、家族愛。
かつて、愛した人。
隠し事、秘め事が絡んできます。
苦労したという社交ダンス。
巧いのに間違いはないのですが、
こちらも2つの理由で鳥肌が立つまでは行きませんでした。
①スローモーション多用(←これはおそらく大多数の人が感じたはず)
おそらく、手や目線の細かい動きをわかりやすくするため、
気づいてもらって、より感動をしてもらうために、監督が意図してやったのでしょう。
特に視線の絡み合いは、それによりわかりやすくなり、感動の度合いは大きくなりましたが、
反面どうしてもテンポは悪くなってしまいます。事実上映終了後「ダンスのところで寝そうになった」
そんなおばさまの声も聞えてきましたから。もう少し、役者と観客を信じてもらいたかったです。
②日テレのウンナン特番で見慣れてしまった(←これは私を含めた少数派かな)
ウンナンが社交ダンス大会に出るまでの過程を描いた特番が1年に1回くらいの
ペースで放送されていました。私、ビビアン・スーが、まだこの番組に出演していた頃から
大好きで欠かさず見ていました。だから社交ダンスの難しさと、全く出来ない人が大会に出るまで
巧くなっていくプロセスをイヤというほど見せつけられているんです。だからここについては・・・。
☆彡 ☆彡
色々思いを書きましたが、
最後はホロッとさせられました(嬉)。
ところが、上映終了後
みなさんの帰るスピード映画の
スローモーション多用とは反対にメチャクチャ速い(苦笑)
う~ん、やっぱりテンポの悪さと
終盤の強引さを許せなかったのかもしれません。
私は、
脚本の実験成功と、
両役者の演技力を称え
A-とさせていただきます(笑顔)