スペル : 新作映画評論

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スペル

劇場公開日 2009年11月6日
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スペル 11月6日よりTOHOシネマズ日劇ほかにてロードショー

戦慄するも笑うもよし。その源は登場人物の“イタさ”にあり!

サム・ライミがプロデュースする恐怖映画専門レーベル“ゴーストハウス・ピクチャーズ”のラインアップは、B級テイストのびっくり系ホラー中心だが、ライミ自身が監督したこの映画は格の違いを見せつけるさすがの出来ばえだ。ひょんなことから顧客の老婆に逆恨みされたOLが3日間の理不尽な恐怖体験を無理強いされ、魂を地獄に持ち去られるという呪いをかけられる。そんな呪いの仰々しいコンセプトからして凄いが、濃厚なショック描写はさらに凄い。こんな薄気味悪い婆さんにつきまとわれたくない、こんな悪夢を見るのだけは勘弁してほしい、と心底思わされる戦慄シーンがこちらの予想以上のしつこさ、激しさで連打され、怖さを突き抜けて思わず唖然の笑いを誘う。とはいえ緩急巧みなストーリーの語り口が絶妙で、マニア限定の悪趣味ホラーに陥らない品格が保たれている。

笑いを喚起するもうひとつの源泉は、呪いの怪現象が発生するシチュエーションだ。職場でのキャリアアップを狙うヒロインの上司の目の前で! さらには初めて対面した恋人の両親とのディナーの席で!! 考えうる限り最悪の場所で容赦なく幻覚や幻聴に見舞われるヒロインのイタすぎるリアクションに、吹き出しつつも同情せずにいられない。

そんな恐怖とイタさを背中合わせにした本作には、ある小道具を用いたサスペンス映画的などんでん返し技も盛り込まれているのだが、それが炸裂するラストが実にすばらしい。ヒロインもイタいが、彼女に寄り添う恋人もイタい。そのイタさはまさしく地獄に真っ逆さまの衝撃だ。

高橋諭治

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