劇場公開日 2009年8月1日

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「こんな激しいアクションは、ハリウッド映画でも見たことありません!しかもあっと驚くどんでん返しで、オリジナルを上回る傑作です!」コネクテッド 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0こんな激しいアクションは、ハリウッド映画でも見たことありません!しかもあっと驚くどんでん返しで、オリジナルを上回る傑作です!

2009年7月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

★★★★★
 史上初となるハリウッド作品をリメイクしただけに、オリジナルを上回るアクション、ストーリーテーリングで、ワクワク・ドキドキの連続でした。

 『セルラー』のベースとなる拉致された先で、破壊された電話からかろうじて通話を試みる設定はそのまま。但し主人公のグレイスがロボット設計士という設定のため、破壊された電話を器用に修復していくシーンでは、俄然説得力が生まれました。

 冒頭からいきなりのアクションで、引き込まれます。グレイスの乗車した車に、体当たりして拉致するという荒っぽさで、本作のアクションの激しさを示して充分な立ち上がりでした。

 グレイスのSOSを受信したのは、何の変哲もないサラリーマンのアボン。しばらく離ればなれに息子と、絶対に空港へ見送りに行くと約束したのに、それをそっちのけでグレイスの救出に東西奔走します。

 普段は平凡だけれど、この日のアボンは大変身!誘拐されたグレイスの一人娘ティンティンを追うカーチェイスシーンが凄いんです。こんな激しいアクションは、ハリウッド映画でも見たことありません。
 河川の壁をこすり、火花を散らして走行したり、一方通行を逆送したり。そのクラッシュする車の台数が半端ではありません。最後は、大型トレーナーにタイブ!

 けれども、こんなのは序の口。アボンの見せ場は後半にも続きました。あるものを手に入れたアボンは、犯人グループから追われる立場に。
 香港の起伏に満ちたロケーションを活かしたこのシーンでは、なんとほとんど垂直に近い山肌を転げ落ちたり、車で滑走したりするのです。
 切り立った崖の突端に車をアボンはせり出してしまい、崖下転落すれすれのところから脱出するするシーンは、アボンだけでなく、見てる方も脂汗が滲みました。
 ホント次から次へノンストップでしたね。

 一方、捜査に当たるのは、刑事から交通係に降格されたばかりのファイ。青島刑事みたいな役どころ、演じているニック・チョンはなかなかアジのある俳優さんです。独特の臭覚で、事件をキャッチし、解決に導きます。
 途中ファイが一味の携帯電話を活用してしまうところが面白いです。一味の主犯格へ、携帯メールをファイがメールなりすまして送り、居所を掴むのです。オリジナル公開時にはまだ携帯黎明期だったころから、明らかに多機能携帯の時代へ、時代の変化を感じさせるシーンでしたね。動画転送も登場しますよ。

 アボンとファイの活躍で犯人グループは逮捕されて、一件落着と思いきや、意外な人物の関与で、大どんでん返し!ホント意外でした。
 絶対絶命のピンチに立たされるアボンを拳銃一丁で、救出するファイ。事件の黒幕を交えたファイとアボンのラストバトルも、危機一髪の連続で凄い迫力でした。
 さて、この事件の黒幕こそが、ファイを交通係に貶めた張本人だったのです。これを退治できたファイの会心の笑みが爽快でした。20年間積もった恨みでしたからね。

 たった電話一本の絆。
 殺伐した現代にそれを信じて、共にピンチを切り抜けるというストーリーに、アクション映画では珍しく、癒されるような感覚に浸れる作品なんですね。 特にラストで、アボンのやり遂げたという達成感を満面に湛えた笑顔には、やったねという清涼感を感じましたね。それとグレイスと思わず抱擁するシーンや、事件解決のため約束をすっぽかしたアボンに、事情を知った息子が誇らしく抱きつくシーンはジーンときました。

 『セルラー』を見たことある人は、必見です!
 オリジナルが緩く感じてしまう傑作ですぞぉぉぉ!

流山の小地蔵