劇場公開日 2009年11月21日

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ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない : インタビュー

2009年11月13日更新

業界トップ5の大手企業からなぜかマ男(小池徹平)たちの働く黒井システムに転職したエリート社員・木村は、一見さわやかな好青年だが、実は会社を乗っ取ろうとしている野心家。傍若無人な言動で職場を混乱させる木村役を演じた田中圭に話を聞いた。(取材・文:編集部)

田中圭 インタビュー
「木村のセリフを借りて言うと『やるしかない』。この心構えは間違ってない」

今回演じた木村を「幼少時代から嫌な奴」と分析する田中圭
今回演じた木村を「幼少時代から嫌な奴」と分析する田中圭

――今回演じた木村は出世欲の塊で会社を乗っ取ろうとする男ですが、この役をどんな風に捉えていますか?

出世欲の塊のような木村
出世欲の塊のような木村

「やっぱり嫌な奴ですよね。あそこまでいくと人間としてアウトですね。もちろん向上心や野心は誰でも多少は心に秘めているものだと思うけど、木村の場合は『給料を上げたい』とか『昇進したい』とかではなく、会社自体を乗っ取ろうとしてますからね。しかもなぜか最初は猫かぶってるし。こいつは突発的に嫌な奴になったわけではなく、幼少時代から嫌な奴だったんだろうなと思わざるを得ないですね(笑)」

――「TAJOMARU」の桜丸に続いて悪役を演じていますが、悪役を演じる美学やこわだりはありますか?

「悪役を演じたのは『TAJOMARU』が初めてだったんです。これまでも、表向きは良い子だけど裏では……という病んでるようなキャラクターを演じることはあったんですが、木村のような100%ダークサイドのキャラクターを演じることはなかったんです。だから、美学を感じるどころか常にいっぱいいっぱいでした」

――身近に木村のような男がいたら仕事がやりにくいと思いますが、もしマ男と同じような環境で働くことになった場合、どう対処しますか?

くせ者・木村に扮した田中 本人は気さくな好青年
くせ者・木村に扮した田中 本人は気さくな好青年

「あそこまでひどくはないですが、それに近い経験はないこともないです。絡みにくい人っているじゃないですか。でも『この人に合わせるの嫌だなあ』と思いながらも合わせちゃう自分がいるんですよね。僕も露骨に感情を出さないタイプですね。ただ、あれは映画だからおもしろく描かれているけど、現実だったら相当嫌な環境なので、僕だったら会社から逃げちゃうと思います(笑)」

――黒井システムにはリーダー(品川裕)をはじめ、アクの強いキャラクターが揃っていますが、一番問題があるのは誰だと思いますか?

「社長(森本レオ)ですね。もちろんリーダーも面倒くさい男ですけど、結局リーダーも社長の言いなりですから。社長は何を考えてるかさっぱり分からないので、そういうタイプが一番嫌なんですよ。同じ方向や目標に向かっているのであれば、進み方が違っても山のてっぺんで会えばいいと思って頑張れるけど、てっぺんが違う人と一緒にやっていくのはキツいと思うんです」

――キャストの皆さんは撮影の空き時間に漫画を読んでいたそうですが、ほかに何か思い出深いエピソードはありますか?

「よくおもちゃで遊んでましたね。リーダーは仕事してない設定だから、デスクにおもちゃがいっぱい置いてあったんです。劇中にも出てきた時間が来るとピュンッと飛ぶおもちゃなどいろいろあったので、みんなで待ち時間に遊んでました。なんだかくだらないことばかりしていた気がします(笑)」

――映画の内容は苛酷ですが、撮影現場はほのぼのした雰囲気ですね。

「漫画喫茶のような現場」と撮影を振り返る
「漫画喫茶のような現場」と撮影を振り返る

「いや、そうでもしないと寝ちゃうんですよ。撮影自体はけっこう苛酷だったんです。途中参加の僕ですら大変だったのに、デスマのシーン(編集部注:劇中に登場する用語で、不眠不休の残業が続く死の行進=デスマーチの略)を撮ってるときは、本当にデスマだったって言ってましたからね。朝から晩までワンシチュエーションで一気に撮っていて、ずっと室内だから気を抜くと寝ちゃうんです。でも漫画を読み終わるとオモチャで遊んだりして、漫画喫茶のような雰囲気でしたね」

――撮影が大変だったからこそ合間にのんびりしていたのですね。

「それが佐藤監督の現場のいいところで、スケジュールがキツくても、精神的にキツいと感じさせないんですよね」

――マ男が藤田(田辺誠一)に支えられたように、これまでの人生で「この人がいたから頑張れた」と思う先輩や恩師はいますか?

ブラック会社で働く現代人にむけて 「やるしかない!」とメッセージ
ブラック会社で働く現代人にむけて 「やるしかない!」とメッセージ

「事務所の先輩である小栗旬君です。昔から『一緒に頑張ろう』と言って僕を支え続けてくれた人だし、僕の道しるべとなって常に前を歩き続けている人だから、すごく尊敬しています。あと、昔芝居を習っていた先生がいて、その人の言うことだけは唯一素直に聞くことができたんです。恋愛相談でも何でも話せる人で、先生がいたから今の自分がいるんだと思っています」

――今の時代、ブラック会社で働く人は実際多いと思います。そんな人たちが苛酷な状況を乗り切るためのアドバイスをお願いします。

「木村のセリフを借りて言うと、『やるしかない』ですね。もちろん実際できることとできないことはあるかも知れないけど、この心構えは間違ってないと思います。『忙しくて寝られない』ではなく、『寝ないでやれよ、やるしかないんだから!』という気持ちで乗り切るしかないですよね」

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