96時間 : 新作映画評論

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96時間

劇場公開日 2009年8月22日
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96時間 8月22日よりTOHOシネマズ有楽座ほかにてロードショー

シンプルかつ強烈な“驚き”に満ちたアクション快作

数あるヨーロッパ・コープ作品の中でも、全米で予想外の大ヒットとなったこのクライム・アクションは、なるべく事前に情報を仕入れずに観るべき“サプライズ”映画である。といっても、トリッキーなどんでん返しが用意されているわけではない。観客にまさかの驚愕を提供するのは、最愛のひとり娘を誘拐され、異国のパリで捜索に乗り出すブライアンという父親のキャラクターなのだ。

一見平凡な中年男が、実は格闘や追跡などの危うい仕事は何でもござれの元秘密工作員だったという奇抜な設定。「娘を救うためなら、エッフェル塔でも壊す」とまで言い放つ冗談のような主人公を、リーアム・ニーソンが大真面目な顔と威厳に満ちた口調で演じ、見事に成立させた。これが第1のサプライズ。

メインディッシュとなる第2のサプライズ、すなわち主人公がどのように豹変し、どんな凄いこと&恐ろしいことをしでかすのかは観てのお楽しみだが、その驚きを満喫するには“たいしたことが何も起こらない”序盤20分をきちんと観ておくことが肝心だ。そこで描かれる主人公の病的すれすれの親バカぶりを、あなたが「キモい」「ウザい」と思えば思うほど、やがてモーレツ追跡者と化す父親の大暴走にド肝を抜かれるに違いない。

リュック・ベッソン印の作品は脚本に難があるものが少なくないが、この映画は主人公の心理描写や謎めいたバックボーンの説明などを大胆に省いたことが吉と出た。つべこべ考える間も、なるほどと納得する必要もなく繰り出されるサプライズの嵐に大いに仰天してほしい。

高橋諭治

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