劇場公開日 2009年10月24日

「演じ手の思いが心を揺さぶる!」沈まぬ太陽 live_at_luxorさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5演じ手の思いが心を揺さぶる!

2009年10月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

知的

難しい

今日から全国公開の話題の映画
『沈まぬ太陽』!観てきました!

場所はメイン上映館のTOHOスカラ座@日比谷!
しかも公開初日の朝一番!初回上映!!
終了後には監督&出演者の舞台挨拶つき!

いやぁ~感動しました!!

本編もさることながら
なんといっても主演の渡辺謙さん!

ハリウッド次回作の撮影も始まってて多忙な中、
本作の完成後にまだスクリーンで観てなかったとのことで
なんと僕らと同じ客席で観ていたんだとか。

これには客席もびっくり!

上映終了後にスポットライトが当たって
座席から立ち上がると、すでにその目を真っ赤にしています。

少し間をおいて壇上に上がる出演陣。

渡辺謙さんに続いて三浦友和さん、松雪泰子さん、
鈴木京香さん、石坂浩二さん、そして若松監督。

壇上に上がると謙さんは石坂さんとガッチリ握手!
バックステージでは監督と抱き合っていたそうです。

舞台挨拶が始まると
自身のコメントの途中では涙で声を詰まらせ、
とうとう男泣きに泣いてしまう謙さん。

会場中がじーんと来てました。
もらい泣き続出!

さすがです!カッコいいです!惚れちゃいます!!

国民的作家と言われる原作者の山崎豊子さんは
この秋、フジテレビ開局50周年ドラマで話題の『不毛地帯』や
『白い巨塔』、『華麗なる一族』など、繰り返し映像化されてきた
骨太の社会派作品を世に送り続けてきた方。

過去にこれらの作品に関わることもあった渡辺謙さんは
この『沈まぬ太陽』の主人公を“最も演じたい役”として上げ、
原作者に手紙を送っていたそうです。

過去に何人もの映画人たちが映画化を望みながら、
映像化不可能とされて長く実現できなかったという
映画人としても本当にやりたかった仕事。

まして発表当時から物議をかもしていたこの作品。
扱う題材は企業や政治の闇と、あの日航ジャンボ機事故…。
多くの遺族、関係者も関わることで
生半可な覚悟じゃ扱えない題材です。

フィクションという形を取ってはいますが
限りなく実話に基づいた切り口で、
虚実交えて深く切り込む内容。

渡辺謙さんも、撮影中やここまで来る間の苦労、
過去の映画人の思い、そして何よりあの事故の関係者の方々の思い。
そんな複雑な思いから涙が出たんだと言っていました。

そしてまさに日本航空の経営危機という今。
タイムリーにこのタイミングでの公開となった事実には
運命的なものすら感じてしまいます…。

運命的といえば…

この作品は3時間22分と長編になっているため
間に10分間のインターバルが挟まれます。

その10分の休憩タイムに流れていたクラシックのBGM。
これもまたある意味で運命的でした…

出演者の舞台挨拶終了後、
壇上に登場した一人のバイオリニスト。

イギリスで活躍中という、例のBGMを担当したこの方。
お父様をあの飛行機事故で亡くされたご遺族だそうです。
あの事故から1ヵ月後の1985年9月生まれ…。
そう。お父さんの顔を知らないんです。

本作の映画化を知り、どうしても参加したいと
プロデューサーに手紙を送ったという彼女。

渡辺謙さんからこの紹介を受けて登場し、
犠牲者の方々を思って作ったというあの曲(BGM)を
生で演奏する姿に、会場中が心を打たれました。

高度経済成長期の社会や企業の中で
不条理に翻弄されながらも
“どう生きるか”
を描いた重厚な作品。

政治も経済も地球環境も世界情勢も
世の中のあらゆる状況が混沌とするこの時代にこそ
観る意味のある作品と言えるのかも知れません。

live_at_luxor