グラン・トリノ 特集: カイル・イーストウッドが語る父親クリント(2)

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グラン・トリノ

劇場公開日 2009年4月25日
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グラン・トリノ

カイル・イーストウッド インタビュー

ウォルト老人とは正反対で、家では穏やかだというクリントウォルト老人とは正反対で、家では穏やかだというクリント

──父の映画の中で、現在の作曲術に影響を与えたサウンドトラックはありますか?

「エンニオ・モリコーネとラロ・シフリンの音楽が好きですね。それに、父の作品に限らず映画をたくさん見ていたので、ジェリー・ゴールドスミスの音楽も捨てがたい。モリコーネはどれも素晴らしいので、とくに1本を選ぶのは難しいですね。父が出たウエスタン3部作はどれも傑作だし、出ていない映画では『ミッション』や『バグジー』は素晴らしいサウンドだと思いますよ」

現在はパリが拠点。映画監督には興味があるという現在はパリが拠点。
映画監督には興味があるという
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──ジャズの世界でベーシストをしている先達に、チャールズ・ミンガスやジャコ・パストリアスがいます。あなたも自らのビッグバンドを率いて絶妙のアンサンブルを奏でています。大学時代に映画監督を目指して映画の勉強されていますが、ビッグバンドを束ねることは、映画監督の世界にどこか似ていませんか?

「映画監督にはいまでも非常に興味があります。だが、現在は音楽を通じて映画に関わることができる喜びのほうが大きいですね。たしかにミンガスやジャコのように、ジャズバンドを集めてアンサンブルをつくる作業は映画監督の作業に似ていますね。もしかしたら、それが父の血かもしれません」

──父の尊敬する点、嫌いな点は?

「仕事に関して誠心誠意働いて、同時にパッションを失わないでいる。それで80歳近くになって自分のベストワークともいえる作品を次々に連発していることは、誰にもマネできないこと。息子である自分にも大いに励みになっています。

嫌いな点かぁ、いい質問ですね。あまりないけど、これまでも作品を通じてぶつかり合うこともしばしばあったし、父が下した決断が必ずしも自分の承服できる内容でない場合もあった。ああ、父はときどき頑固なところがある。それが嫌いといえば嫌いかな。僕も同じで、相当頑固だけど(笑)」

──ひとことで父を表現するとしたら?

「パッショネイト! 情熱を失わない人だ」

──ご自宅にいる時の、素顔の父上はどうですか?

「もちろん、大画面で見るクリント・イーストウッドとは違います。『グラン・トリノ』のウォルト老人とは真反対で、もっと穏やかな生活を送っています(笑)」

──父上が「グラン・トリノ」で俳優業を引退するとほのめかしていますが、それについてどうお考えですか?

父親の嫌いなところは“頑固”なところ父親の嫌いなところは“頑固”なところ[拡大画像]

「たしかにそれについて父の口から聞いたことがあります。だが、それで父は映画製作をやめるわけでなく、僕が考えるに、いまはビハインド・カメラのほうに興味がいっぱいなんだと思う。おそらく興味深いキャラクターがあれば、また出るかもしれません」

──あなたはいまはフランスのパリが拠点ですが、米西海岸にいる父上とどのように連絡を取り合うんですか。その頻度は?

「父もロサンゼルスのスタジオ(バーバンクのワーナー・スタジオ・ロットにある“マルパソ・プロダクション”)とカーメルの自宅を行き来していて、ロサンゼルスで合流したりして互いに意見を交換します」

──最近になって「カイルからいい曲を使わせてもらっている」と父上はおっしゃっていて、「ミリオンダラー・ベイビー」ではアルバム「パリス・ブルー」の中のバラード「ソルフェリーノ」などが使われています。息子であるカイルさんに、父はどんな言葉をかけて許諾を得ているんですか? また、音楽使用料は作曲の場合も含めて、家族割引とかあるのですか?

「あの『ソルフェリーノ』に関して言えば、父のほうから“使わせてくれ”ってお願いしてきて、その曲がいかに好きか説明してきたので使用を許しました(笑)。音楽作業において、マイルス・デイビスなら「So what?」なんて口癖が有名だけど、父は間違っても「Go ahead, make my day!(やってみろよ、オレを喜ばせてくれ!)」なんて言わない。ああいうセリフは脚本家がこしらえたもので、父も役作りのなかでしゃべっているだけのことだけですからね」

やはり「グラン・トリノ」が一番のオススメだとかやはり「グラン・トリノ」が一番のオススメだとか[拡大画像]

「(ギャラについては)2倍請求していますよ、ハハハ(笑)。それは冗談として、父は寛容な人で、いつもちゃんとギャラを支払ってくれる。“割り引け”と言われたら、いつでもマケてあげます」

──このほど父上が日本政府から勲章(旭日中綬章)を叙勲されましたが、父上から何か喜びのコメントを聞きましたか。

「2、3週間前ぐらいに綬章があるかもしれないと打診されたようです。父と私は新作『ヒューマン・ファクター』の撮影で南アフリカにいましたが、父は“『硫黄島からの手紙』のおかげで綬章したんだろう”と言い、本人もとても思い入れがある作品だったので、ことのほか喜んでいました。もしかしたら叙勲のために日本に来るかもしれませんね」

──クリント・イーストウッド映画をまだ知らない映画ファンに向けて、カイルさんのお見立てでトップ3をピックアップしていただけますか?

「第1位は『グラン・トリノ』。これまでの典型的なイーストウッド作品とは違う強いメッセージ性があり、ストーリーも実に興味深い。第2位は個人的に最も好きな西部劇『アウトロー』。音楽のスコアも素晴らしいし、ストーリーも、登場するキャラクターも抜群だ。第3位は『ダーティハリー』。クリント・イーストウッドの名前を最も有名にした作品だからね。これを見ずして父を語れない。自分のことはあえて言いませんでしたが、『グラン・トリノ』の音楽は『硫黄島からの手紙』と並んで素晴らしい音楽です。才能あるミュージシャンが作曲しているんです(笑)」

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