劇場公開日 2010年7月17日

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エアベンダー : 映画評論・批評

2010年7月13日更新

2010年7月17日より丸の内ルーブルほかにてロードショー

何か予想外の危うさが、この映画にははりついている

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本作の当初のタイトルは「アバター」だったのだという。気・水・土・火という4つの元素を操るそれぞれのベンダーの力がひとりに集約されたその人のことをアバターと呼ぶのだそうだが、キャメロン版「アバター」とはちがい、こちらはあらかじめアバターとして生まれた者がいかにしてアバターとして成熟していくかという物語になるはず。完結しない本作の後には、魔法使いの才を持つ子どもたちが真の魔法使いへと成長していく「ハリー・ポッター」的な物語が用意されているに違いない。

だが果たしてそうなのか? という何か予想外の危うさが、この映画にははりついている。それはたとえば、あまりに都合よく流れる物語の早さやそれに対する説明のなさが逆に見る者を不安にさせる、というようなことなのかもしれない。撮影後の2D映像を後から3D処理したどこか頼りない空間の立体感とも重なりあって、その物語はわたしたちを霞の中に置き去りにするだろう。まさにエアベンダーの操る「気」の中に。その霞を抜けた続編以降、わたしたちはこの映画の描く世界の手応えを体感することになるはずだ。そのとき再度、「アバター」とは何者なのかが問題になってくるのではないかと思う。つまり、それはわたしたち自身である、というような。観客がその世界の中に否応なく入っていくそんな臨場感が、映画と違う3D作品の特徴であるはずだから。

樋口泰人

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