チェ/39歳 別れの手紙 特集: ソダーバーグ監督を魅了した“チェ・ゲバラ”のカリスマ性(2)

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映画

チェ/39歳 別れの手紙

劇場公開日 2009年1月31日
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チェ/39歳 別れの手紙

スティーブン・ソダーバーグ監督インタビュー

大抵の伝記映画は、実物より演者のほうがカッコ良いが、この2部作では逆。改めてゲバラのカリスマ性を思い知らされる大抵の伝記映画は、実物より演者のほうがカッコ良いが、この2部作では逆。改めてゲバラのカリスマ性を思い知らされる

──チェ・ゲバラの男としての魅力、人間としての魅力は?

「ベニチオ・デル・トロも納得しているんだろうが、伝記映画史上、俳優よりも実物のチェの方がハンサムな最初の例だと思う(笑)。そのカッコ良さが彼が世界中の憧れであり、アイコンであり続ける理由のひとつだと思う。彼と同じように死んでいった革命家はいっぱいいるのに、美貌とカリスマ性で彼にかなう男はいないし、Tシャツにもなっていないんだからね。興味深いことに、人間は美しさに惹かれるものだ。ところが、チェが目指して世界では“美のための美は存在しない”。彼はパブロ・ネルーダ(『イル・ポスティーノ』に描かれたチリ出身の亡命詩人)の詩が大好きだったが、他の芸術分野にはほとんど関心を示さなかった。彼は芸術そのものよりも、それを形づくる“機能”にのみ関心があった。映画も好きじゃなかった。彼が目指した世界だったら、ぼくには仕事はなくなっていたかもしれないね(笑)」

──デル・トロが最初に軍服を着た時、どんな感想を持ちましたか?

監督は白黒写真に収めたデル・トロを見て、本作の成功を確信したという監督は白黒写真に収めたデル・トロを見て、
本作の成功を確信したという
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「実は一番最初に撮ったのは国連の会議場での演説で、2006年1月のことだった。なぜかというと、国連ビルが改装されることになったから。当時はまだ脚本も固まっておらず、資金繰り的に製作のめどはついていなかったけど、白黒のポラロイドカメラを持っていって、彼を撮った。そして映画は現実となった。いろんなアングルから撮ったんだが、本物のチェの白黒写真と見分けがきかないぐらいだったので、この映画は成功すると確信した。実際、その写真でお金を集めることができたしね(笑)」

──「トラフィック」でも組んだ、デル・トロにはどんなアドバイスを?

「『パニクらないように』と、それだけだ。彼のことはよく知っている。彼は役づくりに時間と熱情をかけて取り組むタイプの役者で、銃をクリーニングする場面があるとすると、1日かけて練習をする。その熱情のおかげで素晴らしい演技ができるわけなんだ。ところが今回は彼もプロデューサーで、銃のクリーニングをたった10分間で切り上げなければならないことも理解してくれていた。撮影に入る前から、ベニチオにとって、これが最大の試練になることはわかっていた。だからこうも言った。『映画を作って失敗するほうが、作らないよりもよっぽどましだ』とね。信じてくれたかどうか知らないが、彼のプレッシャーが軽減されたと信じたい」

──キューバ革命でゲバラたちが乗船する8人乗りのボート、グランマ号のシーン(82名の革命軍同志が相乗りした)がほとんどなくて残念でした。

「39歳 別れの手紙」ではひたすらボリビアでの行軍が描かれる「39歳 別れの手紙」ではひたすら
ボリビアでの行軍が描かれる
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「それは、お金がなかったからだよ。ワンシーンだけ劇中にもあるが、それでも予算はギリギリだった。当初の脚本は素晴らしいもので、グランマ号のキューバ上陸のシーンや、キューバ革命の最初の6カ月を描いていたんだが、長すぎたので泣く泣く切った。すでに、チェがニューヨークの国連で演説するシーンを盛り込むことになっていた。チェの人生絶頂の時で、最も情熱をほとばしらせ、世界への影響力を持っていた時であり、世界中から取材も殺到していたんだ。だが、その時点で脚本を縮めなければならなかったので、対比させるようなキューバ革命での最悪な時期、つまりはぜんそくに悩まされながら、現地のガイドとともに進軍するさまを描くことに全力を傾けた。しかし、シーンを削除するのはとても心苦しいものだよ」

──唐突ですが、映画界でチェに匹敵する革命家と言えば誰になりますか?

「ジャン=リュック・ゴダールかな。彼は長編デビュー作『勝手にしやがれ』以降、現在斬新だなあと思うような映画的な試みをすべてやっている。クエンティン(・タランティーノ)も映画の革命家だが、同じ質問を受けたら『ゴダールの影響を受けている』と言うはずだよ。ゴダールの映画の“新しい言語”をつねに求めている姿勢は、まさに革命家だね」

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