ファニーゲームU.S.A. : 新作映画評論

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ファニーゲームU.S.A.

劇場公開日 2008年12月20日
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ファニーゲームU.S.A. 12月20日よりシネマライズほかにてロードショー

ファニーゲームの真のカモは、観客である

ミヒャエル・ハネケの作品はどれも残酷だ。見る者を不快にさせ、脅えさせ、打ちのめす。観客はまるで隙のない完璧な空間で催眠術にかかった者のように、ただ振り子を見つめることしか出来ない。しかしやがてそれは自分との共鳴によって大きく揺れているのだと気づく。ここがハネケの卓越した才能である。観客は傍観者になることを許されず、身を削って作品と結合させられるのだ。

その最たる作品が「ファニーゲーム」といえるだろう。裕福で幸せな家族が、2人組の青年に殺人ゲームのカモにされる。しかしそこに単純な善悪はない。被害者も加害者も同様に皮を剥がされ、立場も職業も関係なく人の持つ本質だけが露になる。被害者は服を脱がされるが、本当に脱がされているのは服ではないのだ。近所同士の表面的な親しさも然り。隣の様子がおかしいと気づきながら他人事と流したツケが、次々と隣家の恐怖へと続いていく。そして妻の言い分を信じず、家長としての威厳を他人に見せつけようとした愚かな夫もツケを払わされる。ゲームのアイテムも同様で、自動電灯や携帯電話など、便利なはずの物がここではアダになる。

あらゆる箇所に痛烈な皮肉が込められているが、ファニーゲームの真のカモは、観客である。いや、カモにされた“真の加害者”と言うべきか。残酷だと思いながらも続きを見たがり、期待通りの展開を願う観客の身勝手さ、そしてそんな観客に合わせ映画を作っているハリウッドやゲーム業界に、ハネケは辛辣な問いを投げかけているのだ。だがそれは、まだ彼が人間や映画の力を強く信じている証拠でもある。

木村満里子

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ABOUT THE MOVIE

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  • ファニーゲームU.S.A.
  • 「ピアニスト」「隠された記憶」のミヒャエル・ハネケ監督が、自身の傑作「ファニーゲーム」(97)の舞台をアメリカに移してセルフリメイク。主演のナオミ・ワッツが製作総指揮も務め、ティム・ロス、マイケル・ピットら豪華俳優が集結したサディスティック・スリラー。夏の休暇で湖のある別荘にやってきたファーバー一家のもとに、卵を分けてほしいと隣人の青年が突然やってくる。母親のアンは感じのよい青年に卵を分けてやるが、青年は卵を不自然に落とし……。
  • 原題:
    Funny Games U.S.
    監督・脚本:
    ミヒャエル・ハネケ
    撮影:
    ダリウス・コンジ
    美術:
    ケビン・トンプソン
    出演:
    ナオミ・ワッツティム・ロスマイケル・ピットブラディ・コーベット、デボン・ギアハート
    製作国:
    2007年アメリカ・イギリス・フランス・オーストリア・ドイツ合作映画
    上映時間:
    1時間51分
    配給:
    東京テアトル
  • 12月20日よりシネマライズほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2007 Celluloid Dreams Productions - Halcyon Pictures - Tartan Films -X Filme International

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