この自由な世界で : 新作映画評論

現在の掲載作品数23629

この自由な世界で

劇場公開日 2008年8月16日
RATE
RATE A-
この自由な世界でのレビューを書く
見たい度
見たい度を投票
クリップ数
この自由な世界でをクリップ
  • この自由な世界での作品情報
  • この自由な世界での注目特集
  • この自由な世界での映画評論
  • この自由な世界での予告動画
  • この自由な世界でのフォトギャラリー
  • この自由な世界でのDVD
  • この自由な世界での映画レビュー
  • この自由な世界でのグッズ
  • この自由な世界での知恵袋
  • この自由な世界でのつぶやき

この自由な世界で 8月16日よりシネ・アミューズほかにてロードショー

世界全体に巣食う根源的な矛盾が浮かび上がる

画像1(C)Sixteen Films Ltd, BIM Distribuzione,
EMC GmbH and Tornasol
[拡大画像]

ヒロインのアンジーは一人息子を育てるためにお金稼ぎに奔走する勝気なシングルマザー。上司からのセクハラに怒って会社をクビになったことをきっかけに女友達と主に外国人労働者を対象とする職業紹介所を設立するが、当初は順調だったその仕事も次第に彼女の願いと裏腹な方向へと進むことに……。

男社会に嫌気が差して気の合う女性同士で仕事を立ち上げるアンジーの姿は、日本の働く女性たちにも共感できるだろう。お金が入れば男漁りもする彼女は、決して模範的な母親ではないが悪人でもない。だけど、その彼女が物語の進行につれて悪の泥沼に入り込むのはなぜなのか。アンジーの目的は効率的に金を稼ぐことにあり、また弱者としての境遇から脱け出すことにある。それらの目的それ自体が悪であるなどとは誰にも言えないが、現行の資本主義システムで効率良く金を稼ぐには無意識的にせよ何らかの悪に手を染める必要があり、また弱者の境遇からの離脱は別のさらなる弱者を搾取し、踏み台にすることを意味するのだ。そんな資本主義の悪循環のなかをアンジーは彷徨い、多かれ少なかれ僕らも迷い込んでいる。社会の片隅での若い女性による小さな奮闘を追うことで、僕らの生きる世界全体に巣食う根源的な矛盾を浮かび上がらせるケン・ローチ監督の手腕がすばらしく、僕らはこの愛すべき映画を通し、資本主義の“謎”——金銭に囚われることの悲喜劇——にまたしても直面するだろう。

北小路隆志

ブックマーク: Yahoo!ブックマークに登録する はてなブックマークに追加する livedoorクリップに登録する Buzzurlにブックマークする newsingにピックアップする

ABOUT THE MOVIE

  • この自由な世界で 画像2 [拡大画像]
  • この自由な世界で
  • 「麦の穂をゆらす風」でカンヌ映画祭パルムドールに輝いた名匠ケン・ローチ&脚本ポール・ラバティによる人間ドラマ。2007年ベネチア映画祭最優秀脚本賞受賞作。ロンドンに暮らすシングルマザーのアンジーは、働いていた職業紹介所を理不尽な理由でクビになり、ルームメイトと自分達の職業紹介所を立ち上げる。やがて、不法移民を働かせる方が儲けになることを知ったアンジーは、越えてはいけない一線を越えてしまい……。
  • 原題:
    It's a Free World...
    監督:
    ケン・ローチ
    脚本:
    ポール・ラバティ
    製作総指揮:
    ウールリッヒ・フェルスベルク
    製作:
    レベッカ・オブライエン
    撮影:
    ナイジェル・ウイロウビー
    音楽:
    ジョージ・フェントン
    出演:
    キルストン・ウェアリング、ジュリエット・エリス、レズワフ・ジュリック、ジョー・シフリート、コリン・コフリン、マギー・ハッセー
    2007年イギリス・イタリア・ドイツ・スペイン合作映画/1時間36分
    配給:
    シネカノン
  • 8月16日よりシネ・アミューズほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)Sixteen Films Ltd, BIM Distribuzione, EMC GmbH and Tornasol

- PR -

ガイド

新作映画評 人気映画評論家による最新作批評のコーナー。近日公開または公開中の最新作の中から編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介。更新は、毎週火曜日。

読み込み中...