劇場公開日 2009年12月23日

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「アミーゴ!」よなよなペンギン かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0アミーゴ!

2009年12月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

自ブログより抜粋で。
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 まずはアニメーションの技術面で、一見してそのCGの質感に驚かされる。
 それはリアリティとも違う、温かみのある表現で、3D-CGアニメのあり方に一石を投じるものだと思う。
 下世話な話だが、とても黒字が出ると思えない“製作費15億円”も、そういったところに手間暇掛けてのことなんだろう。
 そう、実はこの映画、そのかわいらしい風貌とは裏腹に、子ども向けとしては破格の製作費をつぎ込んだ超大作なのだ。

 和風な七福神や龍、洋風な悪魔や天使といった、まさにごちゃ混ぜのファンタジックな世界観が愉しい。
 そんな世界観かつ子ども向けだから細かいご都合主義もありはするが、目くじらを立てるようなものでもなかろう。
 それより、意外としっかり考えられているストーリーに好感をもった。金色の羽の伏線とか、子ども向けと侮っているとちょっと唸らされる。
 堂々巡りの議論を繰り返す大人たちの姿がちょっと皮肉めいていたり、子どもの活躍に大人が余計なじゃまをしないスタンスもいい。

 『マイマイ新子と千年の魔法』での平安時代のお姫様役が記憶に新しい森迫永依は、相変わらずの初々しい熱演でココを活き活きと演じた。
 永依ちゃんに年相応の子どもらしさが滲み出ているので、一方のチャリーを演じた田中麗奈には、ちと分が悪い。比べるとどうしても端々に大人っぽさが感じられる。
 大地の精霊パラケケを演じた藤村俊二も、どうしても“おヒョイさん”の顔がちらつくのだが、そこはベテランの巧さか、役にはしっかりなじんで違和感を感じない話術が白眉。
 ちょっとびっくりしたのは謎を秘めた“じい”を演じた柄本明。少し声優的な滑舌とは違うので、本職の声優ではないだろうと感じていたが、エンドロールを見るまで柄本さんとはまったく気付かなかった。
 「爆笑問題」太田光のザミーも声優っぽさとは違った味があって面白い。“威張りんぼ”なザミーの雰囲気がよく出てると思う。
 はっきり言って声優としては巧いわけではない、双子のフェアリーを演じた「モーニング娘。」田中れいな&リンリンとかも、これはこれで適材適所な感じで、キャスティングの妙を実感できる絶妙な布陣だ。

 正直なところ、編集を雑に感じることが何度かあったり、脚本的にもセリフに「子どもがこんな言葉使うか?」っていう詰めの甘さを感じることもあって、そこは子ども向けだからといって無視できない難点。
 まあ、難解な単語については、観ている子どもたちがそこに興味を持ってくれれば知識向上に役立つかもしれない、と好意的に捉えられなくもないか。

(中略)

 そんなわけで、大の大人たちが全力で作った愉しいお子様向け映画。ぜひ多感なちびっ子たちに観せてあげて欲しい。

かみぃ