モンゴル : 新作映画評論

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新作映画評論

モンゴル モンゴル 4月5日より、丸の内TOEI1、新宿バルト9ほかにてロードショー

いかにしてテムジンが悟りの境地に達したかを掘り下げた精神的なドラマ

モンゴル (C) 2007 CTB FILM COMPANY/
ANDREYEVSKY FLAG FILM COMPANY/
X FILME CREATIVE POOL/KINOFABRIKA/EURASIA FILM.
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のちにチンギス・ハーンと呼ばれ、モンゴル帝国を築く若者テムジンの物語。角川春樹総指揮の「蒼き狼 地果て海尽きるまで」とつい比べたくなるのが映画ファンの人情というものだが、そんな野次馬的発想はあっさり吹っ飛ぶ。この2本、あまりにも“異質”なのだ!

テムジンの少年時代から青年期に着目し、妻との絆や宿敵との因縁を盛り込んだ話は、「蒼き狼」とほぼ同じに思える。しかし映画としての肌触りがまったく違うのだ。若草萌ゆる美しい草原よりも、砂漠や岩山などの荒れ地で積極的に撮影を実施。異様とも思えるムードの映像で、ひたすら苦行の人生を堪え忍ぶテムジンの流浪の日々が描かれていく。テムジンの内面と荒ぶる大自然との相克が重要なエピソードとなり、いかにして彼が悟りの境地に達したかを掘り下げた精神的なドラマとなった。それなりに派手な合戦シーンもあるものの、爽快な武勇伝からはほど遠い仕上がりだ。

何せこの映画で最も強烈な印象を残すのは、テムジンが獄中で瞑想に耽るシーンなのである。その姿は戦乱の勇者どころか、この世ならぬ幽鬼のようだ。その延々と続く沈黙のシーンを成立させた浅野忠信のカリスマ性はやはり凄い。終盤のストーリー展開が唐突だったりして、テムジンが天下を治めていく物理的な過程はほとんど抜け落ちてしまっているのだが、テムジンという男の人間的スケールだけはひしひしと伝わってくる。「蒼き狼」が伝記ドラマならば、この映画は“神話”というべきであろう。

高橋諭治

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  • たった一代でモンゴル帝国を築き上げた英雄チンギス・ハーンの波乱に満ちた半生を壮大なスケールで映画化した、ドイツ・ロシア・カザフスタン・モンゴル合作による歴史スペクタクル。国内外で注目を集める浅野忠信が主演に抜擢され、全編モンゴル語の台詞で若き日のチンギス・ハーンに挑む。メガホンを取るのは「コーカサスの虜」のロシア人監督セルゲイ・ボドロフ。第80回アカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。
  • 原題:
    Mongol
    監督・脚本:
    セルゲイ・ボドロフ
    製作:
    セルゲイ・ボドロフ、フィリップ・リー、セルゲイ・セリリアノフ、アントン・メルニク
    撮影:
    セルゲイ・トロフィモフ、ロジェ・ストファーズ
    美術:
    ダシ・ナムダコフ
    出演:
    浅野忠信、スン・ホンレイ、クーラン・チュラン
    2007年ドイツ・カザフスタン・ロシア・モンゴル合作映画/2時間5分
    配給:
    ティ・ジョイ、東映
  • 4月5日より、丸の内TOEI1、新宿バルト9ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

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