マンデラの名もなき看守 : 新作映画評論

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新作映画評論

マンデラの名もなき看守 マンデラの名もなき看守 5月17日より、シネカノン有楽町1丁目、シネマGAGA!ほかにてロードショー

偉人の影響をポジティブに受け入れる人物もまた偉大なのだ

マンデラの名もなき看守 (C)ARSAM INTERNATIONAL, CHOCHANA BANANA FILMS,
X-FILME CREATIVE POOL, FONEMA,
FUTURE FILM FILM AFRIKA

南アフリカでの人種隔離政策(アパルトヘイト)は冷戦終焉に呼応するように1990年代に入ってようやく終止符を打ち、ほぼ30年ぶりに釈放されたネルソン・マンデラの姿を僕らは目撃した。タフで聡明な闘士として半ば伝説化していた彼は、つねに温和な笑顔を浮かべ、白人への復讐めいた行動をとることなく人種間の長く激しい対立を融和する方向へと国を舵取りし僕らに感銘を与えた。そのマンデラ自身が公認した初の映画は、彼の釈放までを描きつつ獄中生活の子細を描く内容ではない。いかにも人種間対立の解消を目指した彼が伝えたかった物語に相応しく、当初はゴリゴリの黒人差別主義者だった白人の看守が、マンデラと接するうちに考えを改め、彼と友情を育むプロセスがそこで描かれる。

確かに歴史を動かすビッグネームは存在し、マンデラはそんな偉人の一人だ。だけど誰もがその名を知る人物のみの力で歴史が成立するわけではない。歴史の“主人公”の傍らを生き、その行動や言葉を見聞きする歴史の目撃者や記述者が歴史の成立において不可欠で、この映画はいわば歴史の“端役”とも言うべき名もなき目撃者や記述者を“主人公”とする映画だ。接すれば接するほどマンデラの偉大さに感化され、彼への信頼や愛情を深める白人看守の姿を見つめながら僕らのなかで確信が芽生える。ある人物に影響を与える存在は確かに偉大だが、その影響をポジティブに受け入れる人物もまた偉大なのだ……と。

北小路隆志

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  • マンデラの名もなき看守
  • マンデラの名もなき看守
  • 南アフリカ初の黒人大統領となったネルソン・マンデラの知られざる若き日々を、「ペレ」「愛の風景」の名匠ビレ・アウグストが映画化。反政府運動の指導者として27年間に渡り獄中生活を強いられながらも希望を持ち続けたマンデラの姿を、彼との交流の中で美しい魂を取り戻していく白人看守の視点から描き出す。マンデラ役に大ヒットTVシリーズ「24」のデニス・ヘイスバート、白人看守役に「恋におちたシェイクスピア」のジョセフ・ファインズ。
  • 原題:
    Goodbye Bafana
    監督:
    ビレ・アウグスト
    脚本:
    グレッグ・ラター
    原作:
    ジェームズ・グレゴリー、ボブ・グレアム
    撮影:
    ロベール・フレース
    音楽:
    ダリオ・マリアネッリ
    出演:
    ジョセフ・ファインズ、デニス・ヘイスバート、ダイアン・クルーガー、パトリック・リスター
    2007年フランス・ドイツ・ベルギー・イタリア・南アフリカ合作映画/1時間57分
    配給:
    ギャガ・コミュニケーションズ
  • 5月17日より、シネカノン有楽町1丁目、シネマGAGA!ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)ARSAM INTERNATIONAL, CHOCHANA BANANA FILMS, X-FILME CREATIVE POOL, FONEMA, FUTURE FILM FILM AFRIKA

マンデラの名もなき看守

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