ICHI : 新作映画評論

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ICHI

劇場公開日 2008年10月25日
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ICHI 10月25日よりサロンパス・ルーブル丸の内ほかにてロードショー

たどたどしさが逆にスーパーヒーローではない生身を感じさせる

画像1(C)2008映画「ICHI」製作委員会[拡大画像]

「なに斬るかわかんないよ、見えないんだからさ」

オープニングそうそう女座頭市を演じる綾瀬はるかのこのセリフにシビレたが、後で考えると、ちょっととたどたどしいアクションのエクスキューズにも思えてきた。市はやくざの子分や町を食い物にする盗賊まがいの男たちを、逆手居合斬りでバタバタ倒していくのだが、そのたどたどしさが逆にスーパーヒーローではない生身を感じさせる。木刀では市より強いのに、刀を抜くことが出来ない侍・藤平十馬を設定することで、ふれる者は斬るという市のキャラクターがより鮮明になった。そのいっぽう綾瀬を起用したことで、座頭市シリーズ26作品に主演し代表作に育てあげた勝新太郎がウリにした、力強く切れのいい立ち回りの魅力が半減した。「ピンポン」で曽利文彦監督が多用したスローモーションは、今回、ひたすら市をカッコよく見せるために使われている。

そんな市が旅の男に瞽女(ごぜ・盲目の女旅芸人)屋敷に預けられて育ち、雪のなかを仲間の肩に手を置いて歩き、男に犯されて離れ瞽女になる展開と映像は、篠田正浩監督の「はなれ瞽女おりん」そっくりだった。さらに田舎町のやくざが使い手を用心棒にするあたりは黒澤明監督の「用心棒」を連想させ、盗賊たちが町を襲うのは「七人の侍」を思い出す。曽利監督が見てきた時代劇の名作に対するオマージュなのだろうか。ローマ字の「ICHI」というタイトルが示すように、これまでの座頭市シリーズとは異なり番外編という感じ。この作品はアメリカのメジャー、ワーナー・ブラザース映画が製作しているが、海外でどう受け取られるのか興味をそそられる。

おかむら良

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ABOUT THE MOVIE

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  • ICHI
  • 勝新太郎の代表作で、北野武も自ら監督・主演した時代劇「座頭市」。その主人公を女性に置き換え、綾瀬はるか主演、「ピンポン」の曽利文彦監督で映画化。共演に大沢たかお、中村獅童、窪塚洋介。ある宿場町に流れ着いた盲目の三味線弾きの女・市は、一帯を荒らす野党集団・万鬼党に絡まれる。そこに旅の侍・十馬が通りかかり、彼は市を助けようとするも、なぜか刀を抜こうとしない。市はやむなく、自らの仕込み刀で野党たちを一刀のもとに切り伏せるが……。
  • 監督:
    曽利文彦
    脚本:
    浅野妙子
    原作:
    子母澤寛
    企画:
    中沢敏明
    撮影:
    橋本桂二
    音楽:
    リサ・ジェラルド、マイケル・エドワーズ
    出演:
    綾瀬はるか、大沢たかお、中村獅童、窪塚洋介、柄本明、竹内力、利重剛、佐田真由美、島綾佑、杉本哲太、横山めぐみ、渡辺えり
    製作国:
    2008年日本映画
    上映時間:
    2時間
    配給:
    ワーナー・ブラザース映画
  • 10月25日よりサロンパス・ルーブル丸の内ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2008「ICHI」製作委員会

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