ラースと、その彼女 : 新作映画評論

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映画

ラースと、その彼女

劇場公開日 2008年12月20日
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ラースと、その彼女 12月20日よりシネクイント、シネ・リーブル池袋ほかにてロードショー

差し出された手の温かさは、握って初めてわかる

主人公ラースは、肉体的にも精神的にも人に近づかれるのが大の苦手という青年。そんな彼が皆に紹介したガールフレンドは、セクシャルな目的で使用される等身大人形だった、とここまではインディーズ映画によくあるポップなコメディである。だが話は思わぬ方向に展開し、フランソワ・オゾン監督の「まぼろし」を思い起こさせる。

「まぼろし」は突然長年連れ添った夫を亡くした妻が、自分にしか見えない夫の幻影と共に何事もなかったように今までと同じ生活を続けるという話である。これは実際、強い精神的ショックには有効な手段だそうだ。心の回復には複雑な過程があり、ときに奇妙な方法を取る。

脚本家が、葬儀屋を舞台に生と死を真摯に描いた秀作ドラマ「シックス・フィート・アンダー」の脚本家陣の一人と聞いて納得。本作はコミカルなファンタジーの様相を成しているが、その底では生と死の問題をデリケートに扱っているのである。だから登場人物たちの気持ちについて嘘くさい表現が一切なく、下手な親切心や同情心など登場しない。町の人々は勇気をもってラースに手を差し伸べる。しかし手を掴む方には差し出す方以上に勇気が必要だ。人々はそのことを承知したうえで辛抱強く取り組まねばならず、ラースもその大変さをわかっているからこそ、拒否してきた手を握り返そうとする。ものすごくシンプルな一瞬が深いところで感動を呼ぶ、些細だけれど偉大なことを描いた物語である。

木村満里子

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ABOUT THE MOVIE

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  • ラースと、その彼女
  • 「きみに読む物語」「16歳の合衆国」のライアン・ゴズリングが主演。第80回アカデミー脚本賞にノミネートされた、内気な青年とその周りの人々を温かく描くハートフルドラマ。監督は新進気鋭のCM作家、クレイグ・ギレスピー。雪が降り積もる田舎町、優しくて純粋なラースは町の人気者だが、ずっと彼女がいないために家族は心配していた。そんなある日、ラースが「彼女を紹介する」と兄夫婦のもとにやってくる。しかしラースが連れてきたのは等身大のリアルドールだった……。
  • 原題:
    Lars and the Real Girl
    監督:
    クレイグ・ギレスピー
    製作:
    ジョン・キャメロン、サラ・オーブリー、シドニー・キメル
    脚本:
    ナンシー・オリバー
    撮影:
    アダム・キンメル
    美術:
    アーブ・グレイウォル、キルストン・マン
    音楽:
    デビッド・トーン
    出演:
    ライアン・ゴズリングエミリー・モーティマーポール・シュナイダー、ケリ・ガーナー、パトリシア・クラークソン
    製作国:
    2007年アメリカ映画
    上映時間:
    1時間46分
    配給:
    ショウゲート
  • 12月20日よりシネクイント、シネ・リーブル池袋ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

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