アメリカを売った男 : 新作映画評論

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映画

アメリカを売った男

劇場公開日 2008年3月8日
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アメリカを売った男 3月8日よりシャンテシネほかにてロードショー

リアルな心理描写に比重を置いた2人のスパイの騙し合い

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20年に渡ってロシアに情報を売り続けていたFBI幹部ロバート・ハンセンと、彼の尻尾を掴むために部下として送り込まれたエリック・オニール。2人のスパイの騙し合いの中で、本音と建て前がフラフラと迷いながら飛び交うのが面白い。

実力は一番と自負しているのにトップへ出世できなかったハンセンは、謹厳実直を装いながら、捜査現場の体験がなかったのが敗因とデスクワークばかり押しつける人事をネチネチと怨む。対するオニールは、手柄を立てて捜査員に昇格したい野心と人を騙す後ろめたさの間で、良い子ぶって悩んでいる。

スパイ物と言っても「007」みたいな派手なシーンは皆無。現実はこんなものなんだと、心理描写に比重をおいて地味な作りに徹した分、キャラクターたちの迷い続ける気持ちがリアルに描けた。ハンセン不在の数分の間にデータを盗んだりする、いわゆるスパイ戦らしきサスペンス・シーンも、地味な割に効果的でハラハラさせられる。

初の主演に力んだのか、クリス・クーパーがやりすぎなのが惜しい。いかにも怪しい“鵺(ぬえ)”のような男になっていて、これでは最初から有罪なのが明白だ。原題は秘密などの漏洩を意味する「Breach」。「アメリカを売った男」という邦題は、最近一番の出来。

森山京子

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ABOUT THE MOVIE

  • アメリカを売った男 画像2
  • アメリカを売った男
  • 20年以上に渡り祖国アメリカを裏切り続けた実在のFBI捜査官が逮捕されるまでの2カ月間を描いたサスペンス。FBIの若手捜査官オニールは、上司から新たな任務を言い渡される。それは、トップ捜査官ハンセンの行動を逐一報告することだった……。「アダプテーション」のオスカー俳優クリス・クーパーと「父親たちの星条旗」のライアン・フィリップがハンセンとオニールに扮し、激しい心理戦を繰り広げる。監督は「ニュースの天才」のビリー・レイ。
  • 原題:
    Breach
    監督:
    ビリー・レイ
    脚本:
    アダム・メイザー、ウィリアム・ロッコ、ビリー・レイ
    撮影:
    タク・フジモト
    音楽:
    マイケル・ダナ
    出演:
    クリス・クーパー、ライアン・フィリップ、ローラ・リニー、デニス・ヘイスバート、キャサリン・クインラン、ゲイリー・コール、ブルース・デイビソン
    2007年アメリカ映画/1時間50分
    配給:
    プレシディオ
  • 3月8日よりシャンテシネほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

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