
告発のとき

3.8(全112票)
- 原題:
- In the Valley of Elah
- 監督・製作:
- ポール・ハギス
- 脚本:
- ポール・ハギス、マーク・ボール
- 撮影:
- ロジャー・ディーキンス
- 音楽:
- マーク・アイシャム
- 美術:
- ローレンス・ベネット
- 製作国:
- 2007年アメリカ映画
- 上映時間:
- 2時間1分
- 配給:
- ムービーアイ
(c)2006 Elah Finance V.O.F.
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なんなんでしょうか大国アメリカ。
いやね、良いアメリカ人もいるので、全面的に否定ではないですけど、どうもやってることが凄いですよね。
サブプライムと相俟って、変に腹が立ってしまいました。
言うてみればそこまでイラっとさせる作りにしたのは素晴らしい。
それもアメリカ映画ってのも良いですね。
事実に基づいてまっせと言うてるのも良いですよ!
って、気付いてるんならなんとかせんかい!

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いい映画には、いい脚本。と常々思っている私ですが、
これは『クラッシュ』でアカデミー賞獲得のP・ハギス作品。
実話がベースになっており、鑑賞後に深く考えさせられます。
テーマはおそらくPTSD(心的外傷後ストレス障害)で、
イラク戦争の悲惨さや是非を正面から批判はしていません。
が、結果として父親から引き継がれた「軍人」としての責務を
果たす半ばで事件に巻き込まれてしまった息子の心の「傷」を
丁寧に追う中で、それが何を引き起こしたかが見えてきます。
うーん…!久々にものすごくいい作品を観た気がします。
よく書きこまれた、素晴らしい脚本だと思いました。
地味な宣伝で、公開劇場も限られているような作品なんですが、
これはもったいない。
なにしろ主演のトミー・リー・Jが、あのCMのまんまの表情で^^;
物語の道すじを完全に演じきってくれるのですが、素晴らしい!
どうしてこの人は「苦虫を噛み殺しているような」苦渋の表情が
こんなにも似合うんでしょう…!
刑事役のS・セロン、母親役のS・サランドンの演技も素晴らしく、
大きな半径の中で、僅かな手がかりを求めてあがく苦しみが、
彼女らの悲しみを背景に、ラストまで延々と続いていくのです。
重い。確かに重い題材だけど、誰もに通じる問題となっています。
―ベトナム軍人である誇りを決して忘れない父親。
毎朝、丁寧にベッドメイクを施し、靴を磨き、身支度を整える。
星条旗を毎日正確に掲げることは、重要な国民義務だと唱える。
国を愛し、国のために尽くした自分は「他と違う」という誇り。
それだけに、今日の若者の精神状況がまったく見えていない。
自分の頃はああだった、こうだった、と過去を正当化する彼は
正しいはずの息子がなぜ事件に巻き込まれたのか理解できない。
やがて女性刑事の手を借りて、やや独自に捜査を開始した彼に、
想像もしなかった真相が襲いかかってくる…。
なんといっても、この父親の心情ですね。。
一応ミステリードラマなので、ネタばれはできませんけれど、
犯人の告白を聞いたとき、言い返すことも殴りかかることも
できなかった父親。それはなぜなのか。
何度も見つめてた、息子が撮った写真の真相が判明したとき、
過去に電話してきた息子に自分は何と言ったか…。
もうこのあたりでは、涙が(目からではなく)溢れて仕方なくて、
あぁ自分だったら、こんな時どう言っただろうか。
同じようなことを息子に言ってしまうんじゃないだろうか。
そんなことばかりを考えていました。
情けなくて、親としてものすごく情けなくて、悲しかった。。
大事な息子を助けてやれなかった。救ってやれなかった。
…その悲しみをトミー・リー・Jが全身で表現しています。
ラストにこの父親は、ある行為をします。
まさにこの決心が「告発のとき」。
その行為が持つ意味を、冒頭で彼自身が説く場面がありますが、
静かなるダビデの叫びがエラの谷から聞こえてくるようでした。
(アカデミー賞は残念でした。確か靴職人に負けたんだよな(=_=))
ラスト近く、一度は犯人と疑った息子の同僚と酒を
酌み交わすシーンで、彼の言った言葉・・・。
「イラクにいた時は帰国することばかりを夢見ていた
はずなのに、こうして帰還してみると、今は無性に
イラクに戻りたいんだ・・・」
人命が紙よりも軽いような極限の状態に慣らされて
しまうと、人は抜き差しならない道を歩み始めてしまう。
この映画を通じて、救いの無い世界に身を置いてしまった
人々の苦悩の一端にでも触れられればと思った。
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退役軍人ハンクはイラク戦争から帰還後失踪した息子マイクの悲惨な死を知り、真相を追ううちに携帯電話が一つの手がかりとなる。戦場という場面にはおよそ最もふさわしくない存在の携帯電話、それは現代の我々にとって最も身近なもの、日常的なものの象徴でもある。
軍隊で訓練を積んできたとは言え、20年余りを現代社会の中で育ってきた若者が、いきなり殺すか殺されるかの戦場に送り込まれる。そこで立派な兵士になるため、というよりは何とか生き延びて帰国するためには、自分の中の日常的なものを取り壊していかなければ耐えられるものではないのだろう。
帰国兵の多くは心の闇に怯えPTSDで苦しみ、社会に適応できずに苦しんでいる。その一面で家族への愛、戦友の家族への思いやりも持ち続け、戦争体験はかくも人の人格を断片化させるのかと思う。
ハンクは徐々に真相へと近づいていくが犯人に対する憎しみを通り越して、この国の未来は大丈夫なのかと問いかけてくる。
自由や平和のための戦争と言う大義名分のウラで一体何が起きているのか、Elahの谷でダビデは恐怖に打ち克って巨人戦士ゴリアテに一人挑み、石投げ器の一撃で倒してしまう。
今我々が勇気をもって挑まなければならない「巨人」とは何なのかを考えさせる作品でした。

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この映画では、イラク帰還兵の失踪事件が発端となり、その影に隠れた真相が少しずつ明らかになっていくのですが、他のレビューアーの方もおっしゃっているように、非常に後味の悪い、胸糞の悪い結末です。しかしながら、「ブッシュがもたらした最悪の結果」=「イラク戦争がもたらした本当の悪影響」というのは実は何の罪もない出征したアメリカの若者たちの心にあるのではないか、とつくづく思い知らされました。
私は現在アメリカに住んでいるのですが、同じアパートに住むアメリカ人男性がイラクからの帰還兵でPTSD(Post traumatic stress disorder)を患っており、極端な対人恐怖症です。まだ、戦争は終わっていませんが、これからもこのような馬鹿ブッシュの犠牲となった若者がこの国では増えていくのでしょう。
映画自体の完成度は素晴らしく高く、今回オスカーノミネートのトミー・リー・ジョーンズを始め、シャーリーズ・セロン、スーザン・サランドンも素晴らしい演技を見せてくれています。トミー・リー・ジョーンズは僕的には彼のベストとも言える渾身の演技で(ノーカントリーの上行きます)、特にラストのワンシーンは痛快で思わず拍手してしまいました。監督のポール・ハギスは「クラッシュ」でオスカー勝ち取りましたが、同じような手法で淡々と事件を紡いでいきます。考えさせられるだけでなく、映画としての完成度の高さからも是非見ていただきたい作品です。
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