ラスト、コーション : 新作映画評論

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ラスト、コーション ラスト、コーション 2月2日より、シャンテシネ、Bunkamuraル・シネマにてロードショー

嘘の世界とリアルな肉体的性愛を対比させたアン・リーの“問題作”

ラスト、コーション (C)2007 HAISHANG FILMS/WISEPOLICY

すでに開始から5年が経過しようとする戦争の渦中にあって1942年の上海は実質的に日本の支配下にあり、その手先である現政権は抗日運動を企てる自国民に厳しい弾圧を加えている。本作のヒロインは激しい時代の流れの中で抗日運動に身を投じ、女スパイとして弾圧側のスパイ組織のボスに色じかけ(?)で接近、彼の心をつかむことに成功するが、見せかけであったはずの彼らの恋愛がいつしか本物のそれと見分け難くなる……。

アン・リー監督の最新作は前作「ブロークバック・マウンテン」に引き続き“禁断の愛”を鮮烈な性描写も交えて描く“問題作”だ。たぶん本作で僕らが目撃する性描写は、作戦のための見せかけの恋愛……といった人間の心理的動機の不確かさや弱さを際立たせるために必要とされるのだろう。実際、現政権側の人々によって享受されるブルジョワ的な快適生活は同胞を弾圧し敵国日本の保護を受けてのみ可能な“見せかけ”であり、この映画での上海全てが嘘で固めた世界でさえある。そんな中、ただ男女が裸で渡り合う肉体的性愛のみがリアルな次元にあるのだ。ヒロインとその演劇仲間がいきなり過激な抗日運動組織へと変貌する前半の展開も魅力的だ。彼らはまるで遊戯やお芝居に興じるかのように革命集団になる。40年前に撮られたジャン=リュック・ゴダールの傑作「中国女」での毛沢東に憧れるパリの学生たちのように……。

北小路隆志

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ABOUT THE MOVIE

  • ラスト、コーション
  • ラスト、コーション
  • 「ブロークバック・マウンテン」で05年度アカデミー監督賞を受賞したアン・リー監督が、再び禁断の愛を描いたラブサスペンス。1942年日本軍占領下の中国・上海を舞台に、抗日運動の女性スパイ、ワン(タン・ウェイ)と、彼女が命を狙う日本軍傀儡政府の顔役イー(トニー・レオン)による死と隣り合わせの危険な逢瀬とその愛の顛末が描かれる。第64回ベネチア国際映画祭では金獅子賞とオゼッラ賞(撮影賞)のダブル受賞を果たした。
  • 原題:
    色,戒
    監督:
    アン・リー
    脚本:
    ジェームズ・シェイマス、ワン・フィリン
    製作:
    ビル・コン、ジェームズ・シェイマス、アン・リー
    原作:
    アイリーン・チャン
    撮影:
    ロドリゴ・プリエト
    音楽:
    アレクサンドル・デスプラ
    出演:
    トニー・レオン、タン・ウェイ、ワン・リーホン、ジョアン・チェン
    2007年アメリカ・台湾・中国・香港合作映画/2時間38分
    配給:
    ワイズポリシー
  • 2月2日より、シャンテシネ、Bunkamuraル・シネマにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2007 HAISHANG FILMS/WISEPOLICY

ラスト、コーション

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