崖の上のポニョ かみぃさんの映画レビュー(感想)

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崖の上のポニョ

劇場公開日 2008年7月19日
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宮崎駿監督の到達点
投稿日:2009年10月15日
かみぃさんのレビュー

自ブログより抜粋で(ほぼ全文)
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 宮崎駿監督の四年ぶりの新作は和製人魚姫な童話。
 前作『ハウルの動く城』は抽象的過ぎていまいちだったけど、これは好きだわ。

 近年の他の宮崎駿監督作品同様、相変わらず抽象的だけど、話が解らないってほどじゃない。
 ポニョの舌っ足らずなしゃべり方はメイちゃんを彷彿とさせ、宗介くんの純真ながんばりは千尋を思い出させるその雰囲気は、宮崎アニメの中でも筆者が特に好きな二本、『となりのトトロ』と『千と千尋の神隠し』を足して二で割ったような感じだ。

 全編手描きのアニメーションにこだわったという画調がそうであるように、お話も子ども向けの絵本のようなシンプルなものだけれども、最後まで飽きさせないイマジネーションの自由さ、話の小ささとは裏腹なダイナミックな描写、確かな演出力は、さすが天才宮崎監督と唸らずにはおれない。

 宮崎駿監督の息子・吾朗監督が『ゲド戦記』の冒頭に入れたまるで意味のない父親殺しのシーンに対する父親からの返歌のような、父親の子離れ話という側面もあるのも可笑しい。
 人間になりたがるポニョに反対する父親・フジモトに、「あんたも元人間のくせに海の妖精に惚れて今があるんだろ」と突っ込みたくなる。

 『となりのトトロ』のようにとりたてて悪人が登場しない上に、やたらとものわかりの良すぎる大人たちといい、一歩間違うと陳腐な綺麗事でしかないお話なのに、その純真無垢な世界観に心洗われる。

 前半でのフジモトの思わせぶりで謎めいた言動に翻弄されるが、そういうところは深読みするよりあくまで子ども目線で「お父さんはなんだかよくわからない仕事をやってる気むずかし屋」ぐらいに留めておいた方がよいだろう。

 フジモトがポニョのお母さん・グランマンマーレ(天海祐希)と同居していないのと対を成すように、宗介のお父さん・耕一(長嶋一茂)もずっと貨物船の上で、映画の中ではついぞ宗介たちと直接会うことがない。
 しかし、このふたつの夫婦の間には距離では測れない愛があり、宗介とポニョの間にも姿形に囚われない恋心がある。
 宗介の「(荒れた海に)女の子がいた!」との言葉に車を停めるリサの本来当たり前の行動に人間の良さを確認したり、クライマックスにおけるひねくれ者のトキおばあちゃん(吉行和子)の意外な姿に感動する。
 この一見摩訶不思議な物語は、宮崎駿流の何億年も前から続く母なる海によって育まれた純粋な愛の物語にほかならない。

 ナウシカやラピュタのようなアクション&ヒロイズムを求める向きには正直つまらないだろうが、すでにおじいちゃんと呼んで差し支えのない年齢の宮崎駿監督の到達点として、余裕すら感じられる秀作だ。

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