ジェシー・ジェームズの暗殺 : 新作映画評論

掲載作品数22610

映画のことなら eiga.com エイガ・ドット・コム

ヴェロニカ・マーズ

新作映画評論

ジェシー・ジェームズの暗殺 ジェシー・ジェームズの暗殺 1月12日より丸の内プラゼールほかにてロードショー

灰色の大平原を背景に灰色の登場人物が煮詰められていく

画像1(C) 2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

ウォルター・ヒル監督の「ロング・ライダーズ」(80)の最後は、ロバート・フォードがジェシー・ジェームズを撃つ場面だった。フォード弟に扮したニコラス・ゲスト(兄のクリストファーがチャーリー・フォードを演じた)が「アイ・ショット・ジェシー・ジェームズ」と叫びながら引金を絞る場面は、妙な強引さが記憶に残る。

「ジェシー・ジェームズの暗殺」も、この場面を物語のクライマックスに用意している。ただ、ケイシー・アフレックの演じるロバート・フォードは叫ばない。映画全体も、「ロング・ライダーズ」が省略した「ジェシー・ジェームズの翳りを帯びた晩年」を丹念に描き出す。

ロバートはジェシー(ブラッド・ピット)の崇拝者だった。「おまえは俺のようになりたいのか。それとも“俺”になりたいのか」と問われてうつむき、憧憬と執着を抱えたまま、失望と憎悪をつのらせていく。1880年代初め。エジソンが蓄音機を発明し、ビリー・ザ・キッドが殺され、ドストエフスキーが「カラマーゾフの兄弟」を発表した時代だ。

監督のアンドリュー・ドミニクは、広大で寂寞とした大平原を背景に、両者の心理ドラマを煮詰めていく。急所はここだ。彼は、英雄と凡人、崇拝と憎悪という概念を対立させず、ジェシーの迷いとロバートの狂いを重層的に描き出す。「天国の日々」を思わせる映像だが、奥には「許されざる者」の灰色が潜む。灰色の大平原で、灰色の登場人物が不思議なパントマイムを演じている。

芝山幹郎

ブックマーク: この記事をYahoo!ブックマークに登録する この記事をはてなブックマークに追加する この記事をlivedoorクリップに登録する この記事をBuzzurlにブックマークする この記事をnewsingにピックアップする

ABOUT THE MOVIE

  • ジェシー・ジェームズの暗殺 画像2
  • ジェシー・ジェームズの暗殺
  • 19世紀後半、北米で最も有名だった無法者ジェシー・ジェームズ(ピット)と、彼を暗殺したロバート・フォード(アフレック)。両者のジェシー暗殺に至るまでの心理を丹念に描き出した西部劇。監督はエリック・バナ主演「チョッパー・リード/史上最凶の殺人鬼」のアンドリュー・ドミニク。製作はピット、リドリー・スコットの他、「許されざる者」(92)のデビッド・バルデス。ピットは本作で第64回ベネチア国際映画祭で主演男優賞を受賞。
  • 原題:
    The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford
    監督・脚本:
    アンドリュー・ドミニク
    製作:
    ブラッド・ピット、デデ・ガードナー、リドリー・スコット、ジュールズ・ダリー、デビッド・バルデス
    原作:
    ロン・ハンセン
    撮影:
    ロジャー・ディーキンス
    音楽:
    ニック・ケイブ、ウォーレン・エリス
    出演:
    ブラッド・ピット、ケイシー・アフレック、サム・シェパード、サム・ロックウェル、メアリー=ルイーズ・パーカー、マイケル・パークス、テッド・レビン、ズーイー・デシャネル
    2007年アメリカ映画/2時間40分
    配給:
    ワーナー・ブラザース映画
  • 1月12日より丸の内プラゼールほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C) 2008 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

ジェシー・ジェームズの暗殺

  1. 作品ページ
  2. 映画レビュー
  3. 注目特集
  4. 映画評論
  5. 動画・予告編
  6. フォトギャラリー
  7. 映画館検索

- PR -

ユナイテッド・シネマ

ガイド

新作映画評 人気映画評論家による最新作批評のコーナー。近日公開または公開中の最新作の中から編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介。更新は、毎週火曜日。

読み込み中...
© eiga.com inc. All rights reserved.