劇場公開日 2008年8月9日

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ダークナイト : 特集

2008年8月8日更新

全米で歴史的な大ヒットを記録している新「バットマン」シリーズの第2作「ダークナイト」が今週末いよいよ日本上陸。ノーラン流のリアリズム追求指向は前作「バットマン・ビギンズ」と同じだが、今回は初めてバットマンの名前を外した「ダークナイト」というタイトル以外にもさまざまな新機軸が用意されている!(文・構成:編集部)

今度のバットマン「ダークナイト」はココが新しい!

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【1】大人向きのストーリーが新しい!

「正義」と「悪」の二元論ではない、大人向けのストーリーが新鮮。これまでのヒーロー映画は、スーパーヒーローが「正義」で、敵キャラが「悪」という役割分担が明確だった。が、「ダークナイト」ではその役割分担が不明瞭になる。バットマンが存在するせいで、邪悪な意志を持つ存在が自分たちの存在を誇示しようとゴッサムシティに集まるというパラドックスが生じてしまう。また、さまざまな「嘘」が印象的に登場。「嘘」の多用な効果が描かれるのも大人向き。

バットマンを辞めたい!?ブルース・ウェイン
バットマンを辞めたい!?ブルース・ウェイン

【2】バットマンのキャラ設定が新しい!

ティム・バートン版の「バットマン」は、両親の死に対して無力だったことがトラウマとなり、別の人物に変貌しないではいられない人格障害者。だが、今回のバットマンは前作で「コウモリが怖い」というトラウマを克服した普通の男。しかも今回は、できればバットマン業を引退して、悪との戦いは他の誰かに任せ、恋人と幸福に暮らしたいと思っている。今回のバットマンは「辞めることが可能な役割」という新たな解釈で描かれるのだ。

【3】ジョーカーのキャラ設定が新しい!

バッドなジョークで敵を混乱させるのが得意技なのは従来通りだが、今回のジョーカーは、「悪」が好きなのではなく、「正義」と「悪」の双方に揺さぶりをかける「混乱」が好き。しかもそうした趣味を自ら語る知性派の愉快犯。さらに、バットマンがいるから、自分が脚光を浴びることができるという自覚があるところも現代的。演じた故ヒース・レジャーはこの役を、ピート・ドハーティやシド・ビシャスなど、ポップ・ミュージック界のやんちゃキャラをお手本に演じたと語っている。

陽気なJ・ニコルソンのジョーカーとは 対照的なヒースのジョーカー
陽気なJ・ニコルソンのジョーカーとは 対照的なヒースのジョーカー

【4】トゥーフェイスのキャラ設定が新しい!

正義を信じるゴッサムシティの希望の光、地方検事補ハーベイ・デントが、顔の片側に醜い損傷を負い、怪人トゥーフェイスに変貌するのは従来通り。だが、この変貌のドラマに、バットマンことブルース・ウェインが恋するレイチェルとの三角関係が絡むのは新機軸。この関係に加えてもうひとつ、バットマンとジョーカーとトゥーフェイスとの一種の三角関係が展開するという設定も新しい。

【5】コミックの解釈を投入!

監督クリストファー・ノーランと並んで「原案」に名前を連ねるデビッド・S・ゴイヤーはアメコミファン。前作「バットマン・ビギンズ」では原案と脚本を担当、インタビューでDCコミックの「バットマン:キリング・ジョーク」(88)、「Batman: The Long Halloween」(96-97)、「Batman: The Man Who Laughs」(05)などで描かれてきたジョーカー像やトゥーフェイス像に大きな影響を受けていると発言。なるほど映画のトゥーフェイスの造形もコミック版そっくり。本作にはアラン・ムーアらDCコミックの作者たちによる、バットマン神話の新解釈の成果がたっぷり投入されているのだ。

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