ダークナイト : 新作映画評論

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ダークナイト

劇場公開日 2008年8月9日
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ダークナイト 8月9日より丸の内プラぜールほかにてロードショー

脳髄にからみつく超高速アクション

画像1TM & (C) DC Comics (C) 2008 Warner Bros. Ent.
All Rights Reserved.
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ジョーカーが化けた。「バットマン」第1作でジャック・ニコルソンが扮したジョーカーは「究極のオブジェ」だった。装置や衣裳が印象的だったあの映画のなかでも、ニコルソンの姿は極彩色のオブジェだった。単騎で際立つ彼の言動に、私は笑った。

「ダークナイト」ではヒース・レジャーだ。こちらのジョーカーは、観客を凍りつかせる。裂かれた口も紫の上着もずっと地味だが、その無意識はアナーキーの極致だ。広い背を丸めて邪悪の限りを尽くし、黄色い歯の間から毒に満ちた言葉を吐く。己の異形がバットマンの異形の補完物であることを自覚し、「俺はおまえを殺したくない。おまえは俺を完成させてくれるからだ」とつぶやけば、「ダークナイト」の闇とカオスは一気に深まる。

ジョーカーを通してモラルの境界で揺れる無意識を際立たせたのは、脚本の功績だ。クリストファーとジョナサンのノーラン兄弟は、白騎士デント検事(アーロン・エッカート)と黒騎士バットマン(クリスチャン・ベール)との間にもきわどい軋みを忍び込ませる。そこにジョーカーをからめた三角関係、というよりも三重衝突がこの映画の急所だ。が、哲学の深みは映画の運動感を落とさない。陰と陽と半陰陽は猛スピードで交錯し、バットポッドにまたがったバットマンは、両刃の剣と化しつつゴッサムシティの戦場を駆け抜ける。「ダークナイト」は、濃くて速くて脳髄にからみつく傑作だ。

芝山幹郎

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ABOUT THE MOVIE

  • ダークナイト 画像2 [拡大画像]
  • ダークナイト
  • クリストファー・ノーラン監督&クリスチャン・ベール主演による「バットマン・ビギンズ」の続編。ゴッサム・シティに現れた史上最悪の犯罪者ジョーカー。バットマン=ブルース・ウェインは、協力するゴードン警部補や新任地方検事ハービー・デントらと共にジョーカーに立ち向かうが……。宿敵ジョーカーを演じるのは、本作撮影後に急逝したヒース・レジャー。マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマンらも前作から続投。
  • 原題:
    The Dark Knight
    監督:
    クリストファー・ノーラン
    脚本:
    ジョナサン・ノーラン、クリストファー・ノーラン
    製作:
    エマ・トーマス、チャールズ・ローブン、クリストファー・ノーラン
    撮影:
    ウォーリー・フィスター
    音楽:
    ハンス・ジマー、ジェームズ・ニュートン・ハワード
    出演:
    クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、ヒース・レジャー、マギー・ギレンホール、アーロン・エッカート、ゲイリー・オールドマン、モーガン・フリーマン、ネスター・カーボネル、キリアン・マーフィ、エリック・ロバーツ、アンソニー・マイケル・ホール
    2008年アメリカ映画/2時間32分
    配給:
    ワーナー・ブラザース映画
  • 8月9日より丸の内プラぜールほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

TM & (C) DC Comics (C) 2008 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

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