007/慰めの報酬 : 新作映画評論

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007/慰めの報酬

劇場公開日 2009年1月24日
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007/慰めの報酬 1月24日より丸の内ルーブルほかにてロードショー

速くて危険なクレイグは健在。監督の勤勉さがやや裏目に

期待はあった。不安もあった。

期待はダニエル・クレイグだ。クレイグは、「007/カジノ・ロワイヤル」で私を驚嘆させてくれた。速くてタイトで危険で、ちょっと変質的な気配さえ覗かせてくれたからだ。

不安は監督のマーク・フォースターだった。「チョコレート」も「ネバーランド」も、良心的佳作だが快楽的な映画ではなかった。ボンド映画は、とくに粋でなくてもよいが楽しくあってほしい。しかもフォースターはアクション映画をこれまで撮っていない。

不安は半ば的中した。フォースターは「速くてタイトなアクション」を追求しすぎた。上映時間をシリーズ史上最短の106分に絞ったのはよいが、ボンドの「冷徹非情な復讐鬼」という側面に比重をかけすぎたのだ。私は映画の途中で見方を変えた。「慰めの報酬」はボンド映画よりもマカロニ・ウェスタンに近い。

そう考えると、ハイチの混沌やボリビアの砂漠も舞台として生きてくる。クレイグの素早さや筋力も十分に活用されている。美女と悪党が弱いのはかえすがえすも残念だが、モンタージュを多用したフォースターのひたむきな勤勉さは敢闘賞ものに思えてくる。

ただ、遊びの要素はやはり不可欠だ。ボンドはジェイソン・ボーンではないのだし、クレイグを「敏捷な労働者」の枠に収めるのはあまりにも惜しい。次回は、快楽と勤勉と迅速が矛盾しないことを証明してほしい。

芝山幹郎

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