風の外側 : 新作映画評論

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風の外側 風の外側 12月22日より新宿K's cinemaほかにてロードショー

オリジナル脚本で勝負、娘まで脱がせる奥田監督の心意気を買う

画像1(C)2007 ゼロ・ピクチュアズ/K・S・F

奇妙な符合にフフフと笑った。父・奥田瑛二が監督で、二女・安藤サクラが主演。そしてマスカーニ作曲の「カバレリア・ルスティカーナ」が劇中に使われる。そう、これは「ゴッドファーザーPART III」の如き、ファミリームービーなのだ。ついでに書くと、奥田は父役で、妻・安藤和津は学園の院長役で出演。長女・安藤桃子は助監督を務めている。

思えば、イタリア系のコルレオーネ家もアメリカではマイノリティだが、奥田監督が家族でこしらえた物語は、山口県下関市の在日韓国人二世と三世の「勝ち組」「負け組」を対比させて描く。オペラ歌手になる「夢」を持つ女子高生と「夢」が邪魔になるヤクザの鉄砲玉の悲痛な純愛ストーリーだ。

サクラはオペラの歌唱法に果敢に挑戦していて好感が持てるが、チンピラ役佐々木崇雄に「殺気」が感じられないのが惜しい。「冬の華」のようなヤクザ映画なら、ラストにカタルシス(健サンの殴り込み!)があるものだが、本作では敢えて大団円を用意せず、爽やかな青春映画路線を生真面目に狙ったふうだ。関門海峡に吹きわたる風がほのかに感じられるラストのシークエンスが実に心地いい。

全編のセリフが深く心に突き刺さる。昨今の日本映画では小説や漫画の原作に頼り切りだが、オリジナル脚本で勝負し、実の娘まで「脱がせる」奥田監督の心意気を買いたい。

佐藤睦雄

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  • 「少女 an adolecent」「るにん」「長い散歩」に続く奥田瑛二監督の第4作。山口県・下関を舞台に在日韓国人のチンピラと女子高生による恋愛と、2人の間にある見えない壁を描く。坂の上の名門女子高に通う真理子は通学途中のフェリーの中でチンピラのソンムンに出会う。その後、あることがきっかけで真理子がソンムンにボディガードを頼むなど2人の距離は縮まるが、ソンムンは自分の名前を言い出せずにいた……。主演はソンムンにモデル出身の佐々木崇雄、真理子に奥田監督の次女、安藤サクラ。
  • 監督・脚本:
    奥田瑛二
    製作:
    橋口一成
    撮影:
    石井浩一
    音楽:
    稲本響
    出演:
    佐々木崇雄、安藤サクラ、石田卓也、加納史敏、久保京子、島田雅彦、安藤和津、かたせ梨乃、江原啓之、綾戸智絵、大友康平、北村一輝、夏木マリ、奥田瑛二
    2007年日本映画/2時間3分
    配給:
    ゼアリズエンタープライズ
  • 12月22日より新宿K's cinemaほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2007 ゼロ・ピクチュアズ/K・S・F

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