劇場公開日 2009年5月1日

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GOEMON : インタビュー

2009年4月27日更新

CASSHERN」の紀里谷和明監督が、同作以来5年ぶりに送り出す監督第2作は、オリジナル長編「GOEMON」。あの天下の大泥棒、石川五右衛門を主人公に、虚実織り交ぜた戦国時代の中で、紀里谷監督独特の豪華絢爛な映像とともに繰り広げられるドラマとアクションに圧倒される1作だ。本作でタイトルロールの石川五右衛門を演じた江口洋介にインタビューを敢行。撮影現場の様子やキャラクターを築き上げていく過程での苦労を明かしてくれた。(取材・文:編集部)

江口洋介 インタビュー
「全ての常識を取払い、発想も新しくしていかないと出来なかった」

かつてない苦労とともに五右衛門を熱演した江口洋介
かつてない苦労とともに五右衛門を熱演した江口洋介

石川五右衛門は実在した人物とはいえ、謎多き人物でもある。しかも、本作では紀里谷監督の独自の解釈も加えられている。そんな五右衛門を演じる江口も、当初は本作の独特な世界観に戸惑いを覚えたようだ。

これまでにない石川五右衛門像を体現
これまでにない石川五右衛門像を体現

「五右衛門といったら、基本的に歌舞伎とか、『浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ』っていう辞世の句で有名な大泥棒っていうイメージくらいしかもってなかった。五右衛門が描かれた映画もいくつか見ましたが、今回は単なる時代劇じゃなくて、中世ヨーロッパや近未来な要素も入ってるし、衣装合わせの時も、監督が金髪にしてみてとか、赤いコンタクト入れてみてとか言うので、これは今までの五右衛門とはちょっと違うぞと。イメージとかけ離れすぎて難しいなと感じました」

その違和感は、撮影が始まってもしばらくは残っていたという。

「監督が抱くある種の妄想みたいなイメージの連続の中に、自分がどう入っていくかというのが困難でした。撮影が始まってからも、ずっとグリーンバックでやってるから、最初の1~2週間くらいは全体像が見えず、自分がどういう男を演じているのかつかめないところがあって、監督と顔をつき合わせてもう一度ディスカッションしながら作り上げていきました」

既成概念を打ち破る本作の撮影はまさに体当たり
既成概念を打ち破る本作の撮影はまさに体当たり

撮影はセットが組まれている部分もあるが、グリーンバックが基本でロケは皆無。そんな状況での撮影が、「一番困難でした」と江口は振り返る。

「何万人という大衆にお金をばらまくシーンだって、誰もいないから感じが出ないなって(笑)。撮影の前半はよく困ってました。モチベーションを上げていくために、五右衛門がどういう心情でここにいるのかということを徹底的に話し合ったり、あるいは遊んだり。極端な話、最後は酒まで飲んでやったところもあります。“こうあらなければいけない”っていう全ての常識を取払い、発想もどんどん新しくしていかないと出来なかった」

そう語る江口からは、紀里谷監督の世界観の中でいかにもがき苦しみ、あがいた上で、五右衛門というキャラクターを築き上げていったかが伝わってくる。

作品にかける熱い思いを語ってくれた
作品にかける熱い思いを語ってくれた

「実はカメラアングルは全部決まっていて、撮影前には脚本のほか、完全な分厚い絵コンテ台本に、プレビズ(※プレビジュアライゼーション=事前に作られたテスト映像のようなもの)で2時間のアニメーションまで準備されてたんです。その緻密な論理に対して、こちらはどれだけ野生的に、ワイルドに、計算外のことをぶつけられるかが、映画にとっての成功につながるんじゃないかと。監督もそう思っていたと思いますし、観客に『CGはすごいんだけどね……』って言われたら負けだと、役者はみんな思っていたと思います。だから、キャラクターひとりひとりに納得いくまで熱くぶつかっていったし、周りになにもない中で撮影だからこそ、芝居もいつもよりか何割増でやっていきました。映像がスゴイから、その中でどうリアルでいるか。役者はみんな悩んでいたんじゃないかと思います」

これまでにない体験に苦労しながらも、だらこそ完成した映画には自負をもって熱く語ってくれた江口。観客には、その“エネルギー”をぜひ感じてほしいと語った。

「戦国時代の話ではありますけど、現代でも世界ではどこかしらで戦争があって、そうした戦いで血を流し、被害を受けているのは関係ない一般人です。そうしたところでも、ただの戦国時代を切り取った話ではなく、どの国でも場所でも人種でも、伝わる映画になっていると思いますし、何も血を流すことだけが戦いじゃないですけど、みんながもがいて生きていく中で、成功するためには何かと戦わなくちゃいけない。熱いエネルギーがボーン!っと出てくる映画ですから、ぜひその“エネルギー”を感じてほしいですね」

インタビュー2 ~紀里谷和明監督 インタビュー
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