GOEMON : 新作映画評論

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GOEMON

劇場公開日 2009年5月1日
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GOEMON 5月1日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー

色と形と動きが紡ぐ物語に酔う瞬間に、何度も出会える

「GOEMON」の桃山時代はバロックである。歪んだ真珠を意味するこの語で呼ばれる美術様式は、それまでの均整と調和を目指すルネサンス様式に対して、変化と過剰を尊ぶ。激烈にして装飾過多。狩野派よりも琳派。

この映画の意匠がバロック様式なのは、五右衛門の生き方の過激さも、この映画の奔放な精神も、バロックだから。そして紀里谷和明監督が、映画という表現形式に於いては、その形自体、色自体、動き自体が物語であることを知っているからだ。しかも直感的に。監督は「どうしても加工したくなる。才蔵の目の色は黒じゃないな、と思うから色を変えちゃう。どうして黒じゃないと思ってしまうのかは分からないんですが」と語るが、それが、才蔵の目に映る世界が他の人々の黒い目に映るそれとは異なるからだということは、観客には感じ取れる。

織田信長が初めて出会った西欧文化をおもしろがったように、この映画は映像の新技法をおもしろがる。時代考証や重力の法則から解放されて、目に映る意匠が物語となる。監督の脳内映像が実現されてないであろう場面はあるが、いずれ技術は追いつく。ああ、この場面、この構図で月はこのサイズ、この色か、などと色と形と動きが紡ぐ物語に酔う瞬間に、何度も出会える。

平沢薫

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(C)2009「GOEMON」パートナーズ

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