劇場公開日 2008年1月19日

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シルク(2007) : インタビュー

2008年1月17日更新

海の上のピアニスト」で知られるアレッサンドロ・バリッコの同名ベストセラー小説をマイケル・ピット、キーラ・ナイトレイ、役所広司、中谷美紀といった豪華キャストで映画化した話題作「シルク」。昨秋の第20回東京国際映画祭のクロージング作品として上映された本作のPRのために来日した、インディペンデント映画界の反逆児マイケル・ピットとフランソワ・ジラール監督にインタビューを行った。(取材・文:若林ゆり

マイケル・ピット インタビュー
「まったく違ったところへ旅をしたいと思う心に共感したよ」

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東京国際映画祭の開催中。時差ボケも治らないまま取材攻勢に追われまくったマイケル・ピットは、真っ赤に充血した目をこすりながら登場した。ヨレヨレで穴の開いたTシャツを身にまとった彼自身も、クタクタのヨレヨレ。初っぱなの質問を聞き終わらないうちに、日本語で「イイエ、イイエ、ナニ?」とまぜっかえす。「シルク」のどこに惹かれたのかという質問には、「監督が、最高の食事を用意するって約束してくれたからさ。ロケ地になるイタリアと日本は、食に関しては最高だからね!」。そして、ニヤニヤ。

ヨレヨレ&穴あきTシャツもお構いなし マイケル・ピット
ヨレヨレ&穴あきTシャツもお構いなし マイケル・ピット

意地悪をしているというわけでもないようで、「着物がよく似合っていた」と言うと「そんなことを言ってもらえて嬉しい」と素直に感謝(着物は気に入ったが、自分で脱ぎ着ができず、トイレのとき苦労したとか)。ときどき、「ふざけてゴメン! 今度は真面目に答えるよ」と申し訳なさそうにするのが哀れを呼ぶ。おふざけも、なんとか取材を楽しんで乗り切ろう、という姿勢の表れなのだ(たぶん)。

気を取り直していこう。マイケル・ピットといえば、インディペンデント映画界の反逆児だ。彼は「芸術」と「創造性」にこだわり、ハリウッドのメジャー作品への出演経験を「クソ」と言い切る。そんな彼にとって、時代物で、しかも3カ国合作の大作という「シルク」は、まったく新しいチャレンジだった。

「だいたい、ハリウッドのスタジオから送られてくる脚本は、ほとんどがくだらないんだよ。この作品については、まず日本の歴史に興味を惹かれたんだ。監督の作品を見て、素晴らしいアーティストだってわかっていたし。それに、いままでまったくやったことのない役だったからね。エルベは、心の善良な人。いろいろな理由やしがらみのために、自分の欲しいものを表明したり、それを得るために行動を起こすことができない。そのために自分の大切なものを見過ごしてしまうんだ。共感したのは、自分の居場所とはまったく違ったところへ旅をしたいと思う心だよ」

日本文化に感銘を受けた様子
日本文化に感銘を受けた様子

では、日本での撮影はどんな経験だった?

「日本の現場が懐かしい。日本人スタッフは効率的で勤勉で、ディテールに対してすごく注意を払うって印象が強いね。彼らは必ず時間通りに現場に来て、予定の時間よりずっと遅くに現場から帰るんだから恐れ入るよ! 日本って国は、非常にモダンでありながら、同時にすごく古い面を持っているところが魅力的。すごく好きだよ。『I (ハートマーク) JAPAN』ってTシャツを探してるくらいさ(真顔)」

>>フランソワ・ジラール監督

インタビュー2 ~マイケル・ピット&フランソワ・ジラール監督に聞く(2)
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