ダージリン急行 : 新作映画評論

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ダージリン急行

劇場公開日 2008年3月8日
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ダージリン急行 3月8日よりシャンテシネほかにてロードショー

馬鹿でとりとめがない映画なのになぜか心に沁みてくる

画像1(C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX

ウェス・アンダーソンの映画を見ると、私は「とりとめがない」という言葉を思い浮かべる。語り口はとりとめがなく、登場人物の言動もとりとめがない。観客も最初は、とりとめがない印象を覚えるのではないか。

なのに、彼の映画は沁みる。馬鹿でおかしくて、ギャグやジョークやガジェットで空間が満たされているにもかかわらず、最後に残るのはとても良質のメランコリーだ。「ダージリン急行」でも、アンダーソンはスリー・ストゥージスを思わせる3兄弟を登場させる。3人は、それぞれにエゴが強い。長兄はコントロールマニアだし、次兄は神経質だし、末っ子は頑なだ。一度壊れた関係が修復されるとはとても思えない。

アンダーソンは、そんな3人をインドの汽車に乗せる。バスや馬車にも乗せて見知らぬ土地を漂流させる。3人は、それぞれの感性やスタイルを崩さない。たがいの特性や美質を発見しあったりもしない。むしろ勝手気ままに、自身に特有の穴を掘り進めていく。

ポイントはここかもしれない。

3人の感性を放し飼いにし、それぞれのおかしさが、インドのおかしさに触れたり、はぐれたりする。このちぐはぐが、映画にとりとめのなさを与え、なおかつ観客を意外な場所へとかどわかしていく。「こわれた家族」の言動を変奏しているうち、アンダーソンはこの技を自家薬籠中のものとしてきたようだ。

芝山幹郎

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  • ダージリン急行 画像2
  • ダージリン急行
  • 父の死がきっかけで疎遠になっていたホイットマン3兄弟だったが、長男フランシスの呼びかけで次男ピーター、三男ジャックの3人が揃い、インド横断の列車旅行に出る。しかし、そんな彼らには予想外の出来事が待ち受けていて……。「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」のウェス・アンダーソン監督が描く、3兄弟の心の再生の旅。本編前には三男ジャックの恋を描いた13分の短編「ホテル・シュヴァリエ」(共演ナタリー・ポートマン)を上映。
  • 原題:
    The Darjeeling Limited
    監督:
    ウェス・アンダーソン
    脚本:
    ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ、ジェイソン・シュワルツマン
    製作:
    ウェス・アンダーソン、スコット・ルーディン、ロマン・コッポラ、リディア・ディーン・ピルチャー
    撮影:
    ロバート・イェーマン
    出演:
    オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディ、ジェイソン・シュワルツマン、アンジェリカ・ヒューストン、アマラ・カラン、ナタリー・ポートマン、ビル・マーレイ、カミーラ・ラザフォード、イルファン・カーン
    2007年アメリカ映画/1時間31分
    配給:
    20世紀フォックス映画
  • 3月8日よりシャンテシネほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2007 TWENTIETH CENTURY FOX

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